読了 - アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る
アフターデジタル、本書が出版されたのが4年前。
この言葉を知った時、もう少し先のことだと思っていた。
この4年、コロナ禍にありながらそれでも飛躍的に向上した技術といえば、画像や音声などアナログデータの解析技術。
そして自然言語を扱えるようになった対話型AI。
4年前ならデジタルデータを集めるために大量のセンサーやマイクロチップが必要だと思っていた。
ところが手頃なWebカメラとクラウドコンピューティングを組み合わせるだけで、動画と録音から人間が感じとる以上の変化や傾向を見つけ出せてしまう時代になってしまった。
「AIが普及しても知的労働は残る」と言われていたけれど、それも怪しくなってきた。
IT技術者なら生き残れると思ってたのになぁ…
本書はオフラインがオンラインにマージされる世界をアフターデジタルと呼んだ。
今やアナログとデジタルの境界すらも限りなく薄くなりそう。
改めて本書を読む意味は、4年前の予言と「今」の違いを振り返り、これから先を考えることだと思う。
4年前はコンシューマー向けビジネスがデジタルによって変わること、その対処を考える書籍だった。
今なら、まだデジタルに飲み込まれていない業務プロセスをターゲットに置き換えてみる。
本書はアフターデジタル時代のビジネス原理の1つとして、
高頻度接点による行動データとエクスペリエンス品質のループをまわす
としていたが、これは『高頻度接点による行動データとアウトカム品質のループをまわす』と変わるのか。
それは、人の言動から感情の変化を読み解き、情報とモノの流れから、その淀みや流れ行く先に思考を巡らせる。そして飛躍を生み出す となればカッコ良いんだけど、出来そうでいて難しいよな。
そんなことを考えていて気付いたことがある。
これから数年の間、人は「手つかずのアナログ」を鉱脈のように探し続けることになる。
その先は…どうなるんでしょうね
読了 - 天才IT大臣オードリー・タンが初めて明かす問題解決の4ステップと15キーワード
向き合って、受け入れて、対処して、手放す
これが本書が説くオードリー・タンの問題解決4ステップ。
特に最初と最後が私にとっては大事な気づきを得られるものでした。
最初のステップ「問題と向き合う」
まず「問題を見つける」一番簡単な方法は、その問題に実際に直面した人の話をよく聴くことだと思っています。
オードリー・タンは単に聞くのではなく「相手の話に真摯に耳を傾ける」のだという。
自分はどうしてたかな?
トラブルシューティングの時など、過去の行動を思い出してみる。
- 聞くことから始めたか?
- 相手の話に口を挟まずに聞けたか?
- エンパシー(知性や経験に基づいた理解)やシンパシー(傾聴による相手の気持ちの理解)によった対応をしたか?
残念ながらそこまで真摯に耳を傾けた記憶が無いです。
先入観を持たず、真摯に聴く方ことで、問題に直面した人の心情も分かるし、問題に困っている人にも「話をちゃんと聴いてもらった」ことで安心感を持ってもらえる。
その点についてはなるほどと思う。
その一方で「仮説を持って聞く方が良いのでは?」とも思ってしまいます。
何度か「真摯に耳を傾ける」を試してみて考えることにします。
最後のステップ「問題を手放す」
最後に行うのは、それを推進して世界中とシェアし、その成果物の独占権を放棄することです。これが「手放す」ことです。
確かにネットに現れる優秀な人達は自分の得た知識を独占せずにシェアしていく。
共有することで、その解決策が一般常識へと変わる。
そしてそのことが次の智慧を生む土壌になっていく。
オードリー・タンは世界レベルでSECIモデルのループを回しているのか、スゴイな。
本書で解説されるステップやキーワード、その一つ一つは誰にでも出来ないようなものじゃない。
でも、スゴイ人というのは、誰にでも出来そうなことを徹底してやり切る。
この「やり切る」ことが、簡単にはマネできない。
まずはアクティブリスニングから、始めてみますか。
読了 - 優れたリーダーはなぜ「傾聴力」を磨くのか?
傾聴は大事なスタンス
多くの仕事は、自分のチーム内、顧客や他部署など、誰かとなんらかのコラボレーションが必要です。
人間関係はコラボレーションの成否を分けると言ってもいいでしょう。
良好な人間関係に欠かせないのが、相手の話を聴くこと。
こう書くとなんかとっても当たり前ですね。
では、聴くことと傾聴は何が違うのか。
「傾聴」をググるとWikipediaの「アクティブリスニング」がヒットします。
曰く
アクティブリスニング (Active listening)は、聴く側が能動的に準備をして、発する側からのメッセージの言語や非言語の意図を観察する供に、発信側へ対しての傾聴しているという適切なフィードバックを送る行為である。
アクティブリスニングは、発信側と受信側の間に相互理解を醸成する。発信側は主張が伝わっているという確信が持てる上に、受信側は熱心に聴くことで、内容をよく理解することが出来るとされる
(Wikipediaより)
途中で自分の意見を言ったり、批判的な態度をとるのは違うというわけです。
昨今、注目の心理的安全性が高い関係を作る過程では特に大事です。
もちろん、お互いが安心して意見を言い合えるようになれば、自分の意見を言うのも、批判的な視点も、大事なことです。
「傾聴」のやり方を知りたい場合、私としてはカウンセリングのハウトゥーを学んでみる方がおススメです。
まずは、心理学者カール・ロジャーズさんが提唱した3原則を知っておくと良いです。
共感的理解(empathy, empathic understanding) 相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。
無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard) 相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができる。
自己一致 (congruence) 聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。
(厚生労働省HP 「こころの耳」より)
ところで、本書ですが個人的には馴染まない書き方だなというのが所感。 Z世代、α世代に違和感を感じている方向けなのかもしれません。
読了 - 仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているか
周りにいる仕事が速い人たちも同じように、ちょっとしたテクニックをたくさん知っていたり、自ら編み出したりして実践しているだけ
noteやYouTube、書籍などで仕事術を日々の仕事に取りいれている人なら、「もう知っているから」とスルーしてしまっているかもしれません。
でも、仕事が速い人は出会った状況に合わせてアレンジしたり、自ら編み出したりしています。
あるいはChatGPTのように新しいモノが現れると
「コレをどう使ったら面白いことができる?それとも今より激速にならないか?」
と試行錯誤をしているはずです。
自分なりの工夫は大事だし、欠かせない。
そして、他の人のノウハウからも得られるものがあります。
せっかくKindle Unlimitedで読めるのだから、アイデアの素材として、あるいはチェックリスト的な使い方もアリですよ。
気づき、発想をかきたてられた個所
まず質が高く、確実な仕事ができるようになった上で、仕事が速くできる工夫をしている
改めて考えると、意識的ではないけど確かにそうしてます。
これは仕事術を教える時のポイント。
「一番、時間がかかる作業」を見極めよ
時間がかかる作業の見つけ方
純粋にボリュームが多い
やるべきことが出来るかどうか不明
前提条件、不確定要素が多い
関係者が多い
関係者との関係が遠い(他社や上層部が絡む、関係者の先にも関係者がいる…)
作業ごとの時間を見積もる
まず やり方の分かっていること と、 やり方が分かっていないこと に分ける。
やり方が分かっているなら、知っている作業の積み上げなので作業時間を見積もれます。
でも、やり方が分かっていないことを見積もることは不可能です。
似たような作業をもとに「これくらいかかる」と予想できればまだマシ。
それも出来ないときは「2時間でやり方を調べる」と締め切りを設けて調べます。
締め切りは、調べてもやり方が分からない場合の撤退ポイントです。
ホントに分からないなら諦めて別の方法にスイッチしないといけませんからね。
資料の「お決まりパターン」を持っておく
パターンを作るときは、出来るだけしっかり考えます。
特に作りたてのパターンを使う時は、周りの反応をみてブラッシュアップすることを心がけてます。
「待ち時間」を徹底的に排除する
これは私も結構意識してること。
「メンバーが増えるとコミュニケーションチャネルが指数関数的に増えて作業効率が落ちる」
と、よく聞きますが、実際にインパクトが大きいのは「待ち時間」。
関係者が増えると、情報やタスクの受け渡しの時に必ずと言ってよいほど待ち時間が発生します。
待ち時間を排除しないと、プロセス全体のスループットが上がりません。
人は目で読んだり、耳から聞いたりした情報を頭の中でイメージ(図)に「変換」して理解します
思っている以上に人間はアナログ。
頭の中のイメージをホワイトボードなどに描き出してみると
「ああ、そういうことを言ってたんですね」
と認識のズレが発覚することは、ありがち。
読みながら、こんな風に自分なりの工夫も言語化していくのも大事、と感じた書籍でした。
読了 - 世界の一流は「雑談」で何を話しているのか
親子ほど歳の離れたメンバーがチームに入ってきた。
お互いにリスペクトして、うまくコラボできる関係にするためにも、新メンバーが心理的安全性を感じてもらわなければならない。
そこに雑談が有効なツールになるとは思うものの、どんな話をすれば良いのか?
本書にそのヒントを求めてみた。
雑談は異文化理解とコラボの下地づくり
日本の雑談には「定番のフレーズ」が多い
天気の話に始まり、他愛もない話で場を温める。それが日本のビジネス現場で定番の雑談スタイル。
著者曰く外国人から見れば、それは大して意味のない会話にすぎないらしい。
曰く
世界基準のビジネスの最前線では、「明確な意図を持ち、そこに向かって深みのある会話をできる人」こそが「雑談の上手い人」とされています
世界の一流は雑談を通して文化や価値観の違いを、どう乗り越えて信頼関係を築き、ビジネスで成果を出していくか、そのことに意識を集中させている、のだとか。
ここでハッと気づいた。
本質的には世代間ギャップも同じだということ。
友人関係を作っているのではなく、ビジネスの現場で協力、協調、共創できる関係を育もうとしているのであれば、やるべきことは、お互いを理解し、心理的安全性を高め、信頼できる関係を作る。
雑談はそのツール。
そして、自分を知ってもらうため、そして相手をよく知るために認識すべきことは同じ。
- 「価値観」何を大切にしているのか
- 「信念」何が正しいと思っているのか
- 「希望・期待」何を求めているのか
顧客であれ、チームメンバーであれ、相手が達成したいゴール、やりたいと思っていることに興味を示し、そのために自分が何を提供できるかを知ってもらう。
同時に自分がのことも知ってもらって、お互いが協力できる形を探れるような話になれば良い。
そういう雑談なら歳が離れててもできそう。
今週から始めてみよう。
読了 - 対話をデザインする
「対話をデザインする」、それはどういう意味だろう。
対話によって得ようとするゴールを定め、テーマを選び、自らの考えと問いを投げかける。
対話には相手がある。
得られるゴールとは、共感。それに基づく合意、協力、共創。
あるいは相手からの反論、問いかけから得られる気づき。
本書は対話に対する著者の考えを辿ることで、自分の内面との対話を促される。
対話とは何か?
対話から得られるものは何か?
それらに対して自分は何を感じているのか?
こうして読後感を綴ることも自分との対話であるとも言える。
オンラインでのコミュニケーション、デジタルネイティブの世代が増えていく中で対話の在り方は変わるのか?
改めて考えるには良書だと思う。
対話の在り方を考える中で本書の
互いに納得するために必要なことは、自分の意見が通ったという感覚をあなたと相手がともに持つこと…
何のための納得と合意かというと、それは、対話のプロセスを通して、お互いが自分を肯定するため…
これはとても重要。
共感し、共創していくためには対話を通して互いに納得、合意していくことは欠かせない。
その感覚を大事にするためにも1年後くらいにもう一度、読み返してみると面白そう。
読了 - 「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか
「トップ5%」シリーズが有名な越川さんの書籍なので、本書も似たような内容かな?とは思いながらも、自分に対するリテンションのつもりで開いてみた。
類書との違いは、優秀な人の思考や行動を一般社員に導入する実験がベースという点。
チーム力や従業員全体の底上げを考えている方には良さそう。
まず最初にすべきなのは「成果とは何か?」の考察
長時間、働き続ければ疲れてパフォーマンスは落ちていく。
おそらく、そのことは誰でも気づいてる。
でも、長時間労働で頑張るチームは少なくない。
「やること」を減らさないと働く時間は短くならない。
それに対する優秀な人の行動が本書にはいくつもピックアップされている。
- 先にやめることを決める
要するに、まず「何を達成すれば成果になるか」を考え、成果につながらない、あるいは成果から遠いタスクを「やめること」に分類してしまう。
これはパレートの法則。
効果の大きい20%のことに絞って、80%の成果を上げる。
仕事を任せる側なら「何をすれば成果と言えるか」を共に考えて合意する。
次に考えるのは、その選択は正しいか?
- 進捗20%で提出先から意見を求める
任された仕事を途中の段階で見られることを嫌う人は多い。
でも「やるべきこと」とした判断が間違っていたら何にもならない。
だから、粗すぎるレベルの時点で「このまま進めて良いか?」と問う。
こうすればムダな努力は減るし、仕事を任せた側は安心していられる。
あなたが上司なら「報告しろ」というのではなく、「安心していられるようにしてくれるなら、細かい報告はいらない」と言おう。
その次に考えるのが直接的には成果に影響しないけど外せないものを減らす
上司や顧客への進捗報告は何故必要なのか?
それは「うまくいってるかどうか不安」だから。
締め切りになってから「出来てません」なんて話は聞きたくない。
だから優秀な人は、「順調に進んでる」と周囲に感じさせるために腐心する。
- どのように「達成の見せる化」をするのがいいかを考えることが大切
予定通り成果が積みあがっていく様子がいつでも見えるなら、報告してくれなくても困らない。
チームの人数が少ない時は進捗管理は簡単でいい。
私が今やってるのはToDoリストの共有。
メンバーには毎日ToDoリストを更新してもらう。
必要なタスクが見つかったら、断りなくToDoリストに追加してくれていい、としている。
ToDoリストを見れば、何が終わってて、いま何をやっているのかが分かる。
みんなで集まる必要は無い。
結局、成果に直結する仕事が労働時間に占める割合をどうやって高めるかを考え、試してみて、ブラッシュアップする。
この繰り返しを定着させるのがマネージャーの仕事。