読了 - CHANGE 組織はなぜ変われないのか
タイトルでの問いかけの答えを挙げると
人間の性質と、現代型組織の標準的なあり方は、このような激しい変化に対処するようにはできていない
企業の組織構造は、もっと変化が遅くて予測可能性が高かった世界に合わせて設計されている
この辺りだな。
本書はこの人間と組織の性質を踏まえて、組織を変える方向性を示す。
脅威に目を光らせ、効率と安定性を高めることに力を注ぐ。
それが高まり続けた結果、現代型組織が出来上がった。
一方、変化が速く予測可能性が低くなった現在は、変化の中に機会を見出す必要がある。
チャレンジすることで機会を掴み、次の繁栄へとつなぐ。
しかしチャレンジは必ず成功するわけではない。
チャレンジを続けるためにも、安定的、効率的に稼ぐ必要がある。
つまり、企業としては、安定と効率を志向する現代型組織の性格と、変化の中に現れる機会を見つけてチャレンジする性格を併せ持つ必要がある。
バランスの問題なんだ。
変革できない組織は、このバランスを欠いていて、効率と安定に偏ってしまっている。
変革できる組織にするためには、トップ自らがビジョンを示し、率先垂範する必要がある。
また、ビジョンに共感して発生するチャレンジを褒め称えることで、次のチャレンジを生むことができる。
ただ実際のところ、こんなことができている企業はどれくらいあるんだろう?
組織文化の変革って難しい
読了 - 実践!多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ
新しい視点、新しい考え方をすべて吸収して覚えるのは大変。
じゃあ、自分用のインデックスを作るつもりで書き残せばよい。
「前にこういうのって読んだよな…」と思ったら
site:ino-agile.hatenablog.com キーワード
これでググれば、その本で感じたことや気づきを思い出せるし、なんなら再読すれば良い。
本書は「おすすめ本」を紹介するサイトHONZ代表であり、かつて「本は10冊同時に読め!」を上梓した成毛眞さんが、その多読術を勧める本。
読み方もさることながら、なるほどと感心させられた個所を2点だけ挙げさせてもらおう。
軍事本を使って、合理性と戦略論を学ぶ
20世紀までの軍事作戦で重要なのは、いかに殺傷するか、敵をせん滅するかではなく、いかに友軍の士気を高め、敗走させないかである。いかに敵の裏をかいて包囲し、機動力で圧倒するかである。あるいは、いかに補給路を確保しながら、前線の情報を収集して優位に立つかが重要なのだ。
この文章を読んでいるだけでも、ビジネス現場の場面が脳裏に浮かぶ。
部下や協力関係にある取引先を鼓舞して難事に当たらせること、先行するコンペティターの裏をかいて顧客の気持ちをグッと引き寄せるには、様々な面から俊敏にアプローチすることが有効だろう。
ロジスティクスだって、今でこそビジネス用語として耳にするが本来は兵站を意味する言葉だった。
仮説検証は経営の仕事、だから自然科学を学べ
自然科学の研究というのは、仮説を立てて、それを検証する作業を基本としている。…経済も同様だ。
確かに経済も経営もきわめて多くの要素が絡む複雑系だ。
同じく複雑系を研究対象とする自然科学のアプローチが参考になるというのも納得な話。
本書後半40%ほどが著者による厳選ブックガイド。
著者のおススメ書籍を楽しんでみては如何?
ちなみに私が科学的に思考し、検証することの大事さを痛感したのは「ロジカルな田んぼ」。
思い込みで物事を決めつけてはいけないと教わったのは「ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? 」
読了 - なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?
"システム思考 本"、でググればトップクラスに出てくる名著
私がシステム思考を学んだのは実に20年近く前。
それ以来、システム思考の因果ループ図は私が日常的に使う思考ツールの一つとなっている。
しかし、システム思考では因果ループ図以外にどんなツールがあったのか、思い出せないことに気づき、再読のつもりで本書をとった。
(因果ループ図は、本書では「ループ図」と表現されている)
(因果ループ図 - Wikipedia)
システム思考とは
その名前からするとITを連想する人は多いかもしれない。
しかし、システム思考でいうシステムとは「多様な要素が相互に作用を及ぼし合う仕組み」。
つまり、自然界や人間社会の多くがシステム思考で扱う対象。
物ごとの多くにはパターンがあり、パターンは構造から生み出される。
そして構造には意識・無意識の前提が組み込まれている。
これがシステム思考における「氷山」というメタファ。
構造を各要素が影響し合う因果関係としてモデル化したのが因果ループ図。
そして、この構造に介入する意思を共有するためのツールが時系列パターングラフというところか
因果ループ図こそシステム思考の中核
取り組む対象をシステムとして捉え、そこに内包する構造を因果ループ図で表す。
構造をモデル化することで、システム全体に影響を与える施策を考えることができる。
システム思考は、因果ループ図に表される要素を必ずしも数値化しないし、裏付けとなる調査を行う訳でもない。
このため、各要素のどこに働きかけるのが最適なのかは個々の判断に委ねられる。
しかし、それは他の手法を組み合わせれば良いだけ。
因果ループ図は、ある要素への働きかけによって同調する要素や反駁する要素を1つの図の中に表す。
思い通りにいかないときは、自分の働きかけに対するブレーキ役を見つけることに役立つ。
私は直観に反する事象を考える時によく使う。
そうそう、現実世界を考える時に役立つ「ストック&フロー」「時間的遅れ」という考え方もシステム思考だったらしい。
世の中のものは、溜まるもの(ストック)と流れていくもの(フロー)に分けられる、という考え方と、因果関係による影響には即時的なものと、遅延が生じるものがあるという考え方。
いずれも「よく見かける」ものであり、知っているだけで現実世界の理解が深まる。
システム思考はモデリング
システム思考も現実世界を写像するという点でモデリングだと言える。
モデリングは、描く人の視点、視野、視座に大きな影響を受ける。
知識と経験、そしてそこで養われたセンスによるとも言える。
AIが急速に人間の知的活動を侵食する未来が迫っているけれども、知識、経験、センスが大事な領域は、人間のアドバンテージが保たれると期待したい。
ところで、私がシステム思考を学んだのはどの本だったんだろう? 「システム思考入門」「最強組織の法則」「システム・シンキング」いずれの装丁にも見覚えがない。
どなたか、2005年ごろにシステム思考を紐解いた代表的な書籍をご存じの方は教えてもらえると嬉しい。
読了 - マッキンゼーが解き明かす生き残るためのDX
DXに関する書籍は数多く、何冊か読んだ。
本書ほど日本企業におけるDX取り組みの課題、その構造を解き明かし、本当の意味での推進に舵を切るための指針をガッツリと書いた本には出合えてなかった。
本書では、DXを成功させるための要諦を、Why、What、How、そして、あなた自身が何をすべきなのか、という構成でまとめました。
日本の製造業が遅れている3つの原因(1章)、思ったようにDXを進めることができない企業に共通して見られる、典型的な3つの "症状"(2章)、DX成功企業に共通する目標(2章)、それぞれ納得感があり、考えさせられる。
特に考えさせられたのは「日本企業に共通するデジタル変革における特有の課題」(3章)。
曰く
日本企業では経営層による意思疎通・意思決定がなされずに、曖昧なままデジタルにまつわる取り組みが進んでしまう傾向があり、それが放置されている
任期5年で変革できるか
具体的なレベルで目標となるビジョンが共有されている必要があるけれども、実際にはそこまでたどり着いていない。
「抽象的なお題目」が掲げられているだけ、という企業もあるのかもしれない。
それでは、具体的にどうなればいいかが全従業員には伝わらない。
「多くの場合はできないのではなく、やりたくない」これも本書指摘。
やりたくないと思っている相手に抽象的なことしか示さなければ進まないのは当然だろう。
また「任期5年で変革できるか」も大きな問題。
DXがビジネスモデルの変革である以上、余程の覚悟がなければ5年でできるわけがない。
「日本ではCEOの就任年齢が57.5歳で、5.1年の在任期間」とも示されている。
これが急に若返ったり、任期が延びたりするとは考えにくい。
世代を超えてフィロソフィーを伝承することができるかどうかがカギだとは思うが。
本書は山積みの課題を挙げているだけではない。
マッキンゼーがその事業の中で見出した、DX成功企業に共通する目標、成功のレシピも解説し、本書を読む読者自身がどう行動すべきかも示す。
本当に不足しているのは、事業もデジタルもわかり、その両者を通訳してつなげることができるトランスレーター
課題は大きく難しい。
それでもDXは、全従業員が自分ごとと認識して、自分が変わらなければならないと説く。
この本、何度も読み返すことになりそう
読了 - 1秒で答えをつくる力
コントの稽古中、話をフられた若手が即答できないと欽ちゃんは「黙ったら終了!」と言って最初からやり直させると聞いたことがある。
本書のタイトルからこのエピソードを思い出した。
お笑い芸人は1秒で「おもしろそう」と思わせなければ、見ている人にチャンネルを変えられてしまう
「タイパ(タイムパフォーマンス)」を気にする世代が広がる先にはお笑い芸人同様、1秒で何を感じさせられるかも生き残り戦略に入ってくる。
時代の変化は加速しているから、お笑い以外でも1秒を争う答えが求められる日も近い。
著者は、お笑い芸人養成を行う吉本興業NSCの講師である本多正識氏。
1秒でお客をつかむことを追求することを教える仕事。
そのノウハウが公開されること自体、少ないと思う。
本書は章を追うごとに
芸人見習いがはじめる入門編(1章)
若手芸人が取り組む基礎編1(2章)
若手芸人が取り組む基礎編2(3章)
プロの芸人が必ず行っている実践編1(4章)
プロの芸人が必ず行っている実践編2(5章)
と、進む。
1章は見習い向けだけに取り組みやすいレッスンが並び、これをきちんと実践していくだけでもビジネスパーソンとしてレベルアップできるに違いない。
でも、レッスンは手を抜かずに継続するのが大変。
だからこそ、売れる芸人とそうでない人に分かれてしまうんだろうなぁ
ときおり見返したいポイント
備忘的に列挙だけさせてもらっておきます。
常識を起点に非常識を作る。…「想定は超えるが理解はできる」範囲にとどめる。(コンサルも同じ)
大事なことは、すぐに答えを出すことではなく、会話を続けること。「反応する→返答する→考える」が実は最もいいプロセス。
表情には常に客観性が必要。満面の笑みを浮かべてるつもりでも、相手には苦笑いに見えてしまうこともある。
考える時は口に出す。頭の中にあるイメージを言葉にすると、具体的に考えることができる。
きちんと簡単に言い換えることができるようにしておく
覚えてほしいキーワードがある場合は「最初に使うタイミング」で、丁寧に、ゆっくり、はっきり伝えることが大事
- 講演会で話をする時は冒頭の3分間は意識して丁寧ゆっくり
より多く常識を知っていないと非常識はつくれない
気に入ったレッスンをピックアップして、ご自分のリストに加えてみてはいかが。
読了 - 「後回し」にしない技術
「後回し」、後ろめたくて変えたい行動の典型だと思っている。
なのに、「後回し」は常に自分のすぐそばから手を伸ばして「停滞」の現状に引きずり込んでいく。
先日のセルフコーチングといい、今回の「後回し」といい、これらの書籍が気になることは、私が自分のネガティブな面に追い詰められていることを表しているように思う。
本書が言う「後回し」にしない技術とは、要するに 始めやすくすること と、 自分を追い詰めること 、これが「後回し」にしない技術の根幹 なのだろう。
自分なりに要約してみよう。
まず、始める理由をしっかりと考える。
- 目標に対して効果のあることを探す
- 実現可能性があることで絞る
つぎに考えるのは、始めやすくすること
- 「まず始められる小さなこと」を見つける
そして、自分を追い詰める
- やらなければ、どういうマイナスがあるのかを突き詰める
- マイナスが弱いとやり切るモチベーションが低くなる
- やらない代償を決めて宣言するなど、敢えてマイナス作ることも効果的
- 「やる」と宣言する
- 共に歩む人を見つける
- 図書館にいくと勉強できるように、直接的な協力者でなくてもいい
それでも始められないのは?
無意識かもしれないが「効果または実現性が低いと感じている」と考えられる。
恐らく私が二の足を踏むときの一番の理由はコレ。
始められても効果が実感できずに続けられなかったことは幾らでもある。
十分な効果、十分に実現性のある施策、これを突き詰めておかないとはじめの一歩が踏み出せない。
やったことに対して期待した効果が出なかったとき、リフレーミングして別の視点から効果を考えてみることも試してみると良さそう。
特に、当初期待した効果と異なる場合は言語化しておくほうが良い。
さて、リベンジしてみるか。
読了 - 一瞬で自分を変えるセルフコーチング
ポイントとなるのは「自分にいい質問を投げかける」こと
セルフコーチングの本質って、そういうことなんでしょうね。
その方式の中でも パワフルクエスチョン型 が本書のいう「一瞬で自分を変える」セルフコーチング。
いろんなシチュエーションの中で自分に問いかける。
その効果は
セルフイメージを高める
ふりかえり
ポジティブを引き寄せる
ネガティブな思い込みをなくす
自分を客観視
シンプルな問いを自分に問いかけるスタイルなので、ふとしたスキマ時間でも出来るのがおススメされるところ。
読みやすい本なので、ざっと読んでみて「いい問い」だと感じる問いをスマホのリマインダーに入れてみると良さそう。
読み返すためにも「いい問い」をピックアップして書き留めておきます。
セルフイメージを高める
最近、人から「ありがとう」と言われたのは、どんなとき?
自分が頑張って、いい結果を得られた経験は?
ふりかえり
1年前の自分より成長していることは?
想定外に得られたものは何だろう?
ポジティブを引き寄せる
- 他人から言われてうれしかった言葉は?
ネガティブな思い込みをなくす
- 一歩引いて、自分を疑ってみる
自分を客観視
- 得意なこと、苦手なことを書き出してみる
自分に問いかけてみましたか?