バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

読了 - なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?

"システム思考 本"、でググればトップクラスに出てくる名著

私がシステム思考を学んだのは実に20年近く前。

それ以来、システム思考の因果ループ図は私が日常的に使う思考ツールの一つとなっている。

しかし、システム思考では因果ループ図以外にどんなツールがあったのか、思い出せないことに気づき、再読のつもりで本書をとった。

(因果ループ図は、本書では「ループ図」と表現されている)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ea/Adoption_CLD.svg/1920px-Adoption_CLD.svg.png (因果ループ図 - Wikipedia

システム思考とは

その名前からするとITを連想する人は多いかもしれない。

しかし、システム思考でいうシステムとは「多様な要素が相互に作用を及ぼし合う仕組み」

つまり、自然界や人間社会の多くがシステム思考で扱う対象。

物ごとの多くにはパターンがあり、パターンは構造から生み出される。

そして構造には意識・無意識の前提が組み込まれている。

これがシステム思考における「氷山」というメタファ。

構造を各要素が影響し合う因果関係としてモデル化したのが因果ループ図

そして、この構造に介入する意思を共有するためのツールが時系列パターングラフというところか

因果ループ図こそシステム思考の中核

取り組む対象をシステムとして捉え、そこに内包する構造を因果ループ図で表す。

構造をモデル化することで、システム全体に影響を与える施策を考えることができる。

システム思考は、因果ループ図に表される要素を必ずしも数値化しないし、裏付けとなる調査を行う訳でもない。

このため、各要素のどこに働きかけるのが最適なのかは個々の判断に委ねられる。

しかし、それは他の手法を組み合わせれば良いだけ。

因果ループ図は、ある要素への働きかけによって同調する要素や反駁する要素を1つの図の中に表す。

思い通りにいかないときは、自分の働きかけに対するブレーキ役を見つけることに役立つ。

私は直観に反する事象を考える時によく使う。

そうそう、現実世界を考える時に役立つ「ストック&フロー」「時間的遅れ」という考え方もシステム思考だったらしい。

世の中のものは、溜まるもの(ストック)と流れていくもの(フロー)に分けられる、という考え方と、因果関係による影響には即時的なものと、遅延が生じるものがあるという考え方。

いずれも「よく見かける」ものであり、知っているだけで現実世界の理解が深まる。

システム思考はモデリング

システム思考も現実世界を写像するという点でモデリングだと言える。

モデリングは、描く人の視点、視野、視座に大きな影響を受ける。

知識と経験、そしてそこで養われたセンスによるとも言える。

AIが急速に人間の知的活動を侵食する未来が迫っているけれども、知識、経験、センスが大事な領域は、人間のアドバンテージが保たれると期待したい。

ところで、私がシステム思考を学んだのはどの本だったんだろう? 「システム思考入門」「最強組織の法則」「システム・シンキング」いずれの装丁にも見覚えがない。

どなたか、2005年ごろにシステム思考を紐解いた代表的な書籍をご存じの方は教えてもらえると嬉しい。