読了 - 町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由
答えは「スループットを最大化することによって売上・利益を上げたから」。
スループットはというのは、企業を「お金を作り出す機構」と見なした時のお金を生み出す力のこと。
ザ・ゴールでお馴染みのTOC(制約の理論)で提唱されていた考え方です。
吉原精工で残業ゼロでも厚遇できるという理由が「スループット」だけでは、まとめ過ぎなので、まずは基本的なポイントを挙げてみます。
- シフト勤務により作業できない時間を短縮
- ワイヤー加工に特化することによる作業効率化と社員の習熟度向上
こうして労働者の就業時間を増やさず(実際は短縮して)、生産している時間を増やしました。
これで安定的に受注が出来るなら売り上げも利益も増えていきます。
プロモーションで受注拡大
受注拡大に繋がったポイントは新規顧客を増やすと同時に、既存顧客の流出防止。
吉原精工のWebサイト(https://www.w-cut.com/)を見ると、どうすれば安く加工してもらえるかが分かり易いです。
- 納期による割引(20日で5%、40日で10%)
- 割引をうまく組込むことで作業の平準化も図れている
- リピート品なら20%OFF
- 気分がよければ……30~100%OFF加工
- 新規お取引前のお試し加工100%OFFで対処できてます。
- 量産加工前の少量試作品は原則無料
これで、新規顧客がつかめそう。
さらには、折れたタップの除去や、顧客ミスによる再加工を無料対応してくれる。
安い上に、アフターフォローも嬉しい。これでリピートも確保。
さらには社員のレベルアップ施策もあったとのこと。
利益の半分がボーナスの原資と明言したことで、ボーナスを増やそうと社員自身が考えだします。
- 機械が止まると社長をせかす
- 新人にはベテランが自発的に教える
さらには、自社にとってのプロを定義したことで、どう頑張れば良いかが社員に伝わります。
これらことにより、効率と向上心が自発的に上がっていったと思われます。
よそもマネできるか?
基本的には可能だと思います。理由は、天才的な経営で成功しているのではなく理屈に沿っているから。
一つ一つの施策がよく考えられている上に一貫性がある。
そのことが効果を生んでいると言えそう。
この本に出てくる施策って、BSCの演習にも使えそうなくらいです。
コンサルティングの勉強している人にもおススメできる良書でした。
- 作者:博, 吉原
- 発売日: 2017/12/05
- メディア: 単行本