バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

読了 - ソーシャルメディア・マーケティング

LINE、TwitterInstagramYouTubeFacebookソーシャルメディアに関わらない人が減りました。

ICT総研の発表によれば2020年度における「日本のSNS利用者は7,975万人(普及率80%)」。

このことがマーケティングにもたらした最大の変化は「消費者の声が聞こえるようになった」でしょうか。

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商品やサービスの情報が消費者に届くまでの主な経路がTV、新聞、雑誌といったマス・メディアであった時代、消費者の声は企業がモニタリングやアンケートで聞くのが主流でした。

でも、インターネットとスマホの普及により消費者は、暗黙的なものまで含めると日常的に自分の意見や好みをネットの世界に発信しています。

以前なら到底聞こえなかった人たちの声まで聞こえるようになってしまった。

それは、商品・サービスを供給する立場であれば、ソーシャルメディアから得られる情報を積極的に取りにいかなければいけなくなったことを意味していると言って良さそうです。

個人的には章立ての順番に若干違和感はありますが、本書は

顧客を知る(第3章)

顧客に伝える(第4章)

顧客と繋がる(第5章)

顧客とともに価値を創り出す(第6章)

これら4つの活動を実際に計画・実行(第2章)

成果を測定し、絶えず改善していく(第7章)

といった具合に、ソーシャルメディアマーケティングインターネットやソーシャルメディアを当たり前のものとして取り入れたマーケティング活動)の実践に向けての基礎を、網羅的に解説した書籍です。

ライトな文章で読みやすいのですが、教科書的できちんと学ぶには良書、が本書全体の感想です。

特に参考になった個所

ソーシャルメディアマーケティング・リサーチに用いる(3章)

「確かにSNS時代だ」と感じる手法だったのが、ここで紹介していた具体的手法

  1. 調査目的に関連する情報やインタラクションがありそうなサイトを見つける
  2. 対象が特定できれば、コミュニティやグループの特徴、行動、言語などの文化について学ぶ
  3. サイト上のインタラクションをダウンロードし、客観的に分析する
  4. 理解や発見とともに、データ収集と分析プロセスについての観測と反省を記録する
  5. 分析結果を対象のコミュニティのメンバーに開示し、その内容について話し合う

観察や分析の是非を「その相手に直接ぶつける」。いや、怖いけど面白いやり方ができるんですね。

これが出来なければ、売り出した商品・サービスが受け入れられるかどうかでしか、その妥当性を確認できません。

今は新規事業も新商品開発もリーンスタートアップなやり方でないとダメなんだと痛感させられます。

◆ブランド・コミュニティを形成維持する4つの実践類型(5章)

ブランド・コミュニティというのは、その典型であるハーレー・ダビッドソン・オーナーズクラブを挙げると分かり易いかと思います。

ヘビーなファンであると同時に、ブランドの認知度向上にも貢献する存在です。

「4つの実践類型」と言いながらここでは1つしか書きませんが、一番共感したのが「②コミュニティエンゲージメント」。

コミュニティエンゲージメントは、ブランド・コミュニティ内に段階や区別を持ち込むやり方。

一見するとコミュニティを分断するような施策ではありますが、一例として「ディープな愛好家とライトなファン層を作る」とすれば、その効果が分かります。

分けることで、ディープな人たちは心置きなくディープになれますし、ライトなファン層があれば初めての人も敷居が低いです。

ディープな愛好家に初心者向けの講師をしてもらえば、愛好家にはステータスになるし、初心者はとっつき易い面白さに触れることができるでしょう。

なんかコーディネートしてみたくなります。

商品・サービス開発している方や、コミュニティ運営にかかわってる方、この本、お薦めです。