バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

読了 - ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか

本書ではイノベーション(1章)、歴史(2章)、起業家精神(3章)、戦略・マーケティング(4章)、リーダーシップ(5章)という切り口で、ハーバードで教材となっている日本企業の事例とそこから何を教えているかが解説されています。

ホンダジェットの開発、コマツの「ダントツ経営」、リクルートAKB48、亀田の柿の種、トヨタトヨタウェイなどなど。

「そんなにいろんな日本企業が教材となっていたんだ」と素直に驚いてしまいます。

確かにそれぞれで挙げられた事例から学べることはあるようだけど、国内的にも一定の成果をあげている企業なので、日本企業だから特別というわけではないのでは?と感じます。

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もう一度、読み返してみると「日本人、日本企業の特性」が、やっぱり書いてありました。

  • 日本企業の創業者や経営者は、会社ができるだけ長く存続し、将来も持続的に成長していくことに主眼を置いて投資判断をする
  • (戦後の)日本企業の経営者には『日本全体の底上げに自分たちが貢献するんだ』との思いが強くあった
  • 日本企業のリーダーが現場の人々をやる気にさせて、ボトムアップで組織を変革していく手法は『創造的』
  • 多くの日本企業が『学習する組織』であること

つまり日本企業では、アメリカの企業に比べて長期的な視点で経営を考えていること、企業を支えているのは人だと考えていることが特徴だというわけです。

そういえば日本には「後進に道を譲る」や「客が店を育てる」という考え方があります。

譲った人や育てた人には何もメリットがないのですが、こういうことをする日本人は確かにいます。

今だけでなく将来も含めた組織や社会の一員として貢献しようという価値観が日本人にはあるんですね。

なぜ日本企業の中ではイノベーションが起きないか?

ハーバードの教授陣が考える日本の課題として「イノベーションの創出」が挙げられています。

その原因の一つとして「日本人は失敗を過度に恐れる」との指摘もあります。

挑戦することにネガティブなのは、失敗がマイナスに評価されるという認識が浸透していることもさることながら、成功しても大したプラス評価にならない、というのもあると思います。

青色発光ダイオードみたいに革新的なイノベーションを起こしても、中村修二氏は納得できる報酬を得るのに訴訟しかなかったくらいですものね。(それでも納得してないでしょうけど…)

失敗を大きな減点にしないことは、企業の持続的成長のために不可欠です。

また、成功を大きく評価しないなら、誰も挑戦しなくなってしまいます。

従来の慣例を見直し、挑戦を推奨し、その成功を評価する、そういう企業が増えていかなければ、優秀な人ほど国外に移って行ってしまう。経営者の方々には頑張って変革を進めてほしいものです。

長所は明確に意識することで強みになる

本書の終章でも

日本の最大の強みは、その独自の文化です。

と提言されています。

経済的な競争がグローバル化され、いろいろと難しくなっている時代ですが、他者を見て自分の短所を補うことよりも、長所を伸ばす方が強力な差別化につながるのは間違いありません。

自社のオリジナリティって何か?

それをうまく見つけた企業がハーバードで教材になってるということなんでしょうね。

普段と違う目線で、自分を見直すのはやはり大事なことだと再認識できた気がします。