読了 - 「雑草」という戦略
雑草はVUCAを生き抜いてきた
雑草の生えている場所といえば、道ばた、公園、畑や庭。いつ踏まれるかわからない、抜かれたり、刈られたり、除草剤をまかれることもある。つまり『予測不能な激しい変化が起こる場所』。
植物が繁殖するには過酷なはずなのに、一掃できたという話を聞いたことがない。見渡す限り抜ききったとしても、しばらくすれば復活している。それが雑草。
本書は雑草と呼ばれる植物の生態解説に形を借りながら、予測不能なVUCA時代を生き抜くための知恵を語っているように読めるところが面白いです。
「踏まれたら、立ち上がらない」というのが本当の雑草魂なのだ。…雑草にとって、もっとも重要なことは何だろうか。それは花を咲かせて種子を残すことにある。…踏まれながらどうやって花を咲かせるかということの方が大切である。
ビジネス書や自己啓発書のように直接的じゃないからこそ、「自分に置き換えてみたら?」と思考を刺激されます。
変化に強いとは、どういうことなんだろう?
雑草は…まともに戦ったのでは勝ち目がない。…競争力を求められない予測不能な変化の起こる場所を選んでいる。
変化の起こる場所で戦うのであれば、変化に強くある必要があります。
変化に強いとはどういうことか考えてみると
- 予兆をつかむ
- 素早く反応する
- 既存の前提を変えることができる
でしょうか。
本書によれば、これ以外に
- 多様なオプションを持つこと
- 次の世代での成功のため「次への投資」
を、挙げてます。なるほど確かに。
一度うまくいったとしても、次で枯れたらダメ。次の時も生き抜くために仕込みは必要です。
日本人は見立てが好き
「見立て」はWikipediaにも取り上げられており「他のものになぞらえて表現する」という意味があります。
本書も、雑草に「したたかさ」を感じとる日本人の「見立て好き」という性癖を狙い撃ちにした、そんな書籍です。
そういう意味では、どれほど売れたとしても本書の洋書化は困難、なんでしょうね。
まあ、道端の雑草を見て、自分はどうやって生き残ろうか、なんて考えてしまうというのも面白いですよ。
- 作者:稲垣 栄洋
- 発売日: 2020/07/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)