読了 - 東大卒、農家の右腕になる。
- 小さな経営改善ノウハウ100
- 課題解決の教科書
タイトルも表紙のコピーも、なんか気になる本書です。
とはいえ、実は1年前に読んだ「農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦」に、著者 佐川友彦さんの挑戦の一端が紹介されていましたので、改めて書き下ろす一冊はどういう切り口なのかと買ってみた次第です。
2部構成の第一部では佐川さんが阿部梨園にたどり着くまでと、阿部梨園での改善の日々を越えて阿部梨園を卒業するまでのストーリー。
第二部はサイト「阿部梨園の知恵袋」で公開されている経営改善ノウハウから100の抜粋、という構成です。
早速、経営改善に取り組みたい農家の方は第二部から読んでもよさそうですが、私自身は農業との関りが薄いので第一部から読ませて頂きました。
佐川さんが改善に取り組む前の状態は本書曰く
そこからの経営改善のストーリーなのですが、その道のりは失敗と苦労の中で進めた小さな改善の積み重ね。
泥臭くて大変な日々だったことが伺えます。
だからこそリアルだし、「自分もマネできるかも」と、その気になってきます。
実際、佐川さんのアプローチは農業以外でも十分通用すると思われますし、やってみたくなります。
「え、そんなところから?」と言いたくなる『第二部 小さな経営改善ノウハウ100』
サラリーマンならちょっと驚くノウハウがいくつか。
たとえば
- 定期的に掃除する(#014)
- 給与明細を発行する(#030)
- スタッフを人事評価する(#040)
でも一方で、「あれ、ウチの会社ってちゃんと出来てたっけ?」と思うノウハウも。
- 物品の置き場を表示する(#064)
- お問い合わせを記録する(#082)
これこそ台湾のオードリー・タンさんが言う『互いにわからないことがあるからこそ、そこにイノベーションが起こる』(オードリー・タン「高齢者はデジタル弱者というのは誤解」PREDIENT Online)なんですね。
逆に農家の人に会社の中を見てもらったら、改善点がボロボロでてくるのかも、と思うと薄ら寒いものが…
副業時代の教科書にできるかも
都市部の人が副業で地方企業の事業に参加するといった話がチラホラ聞こえてきます。
今までとは毛色の違う仕事に取り組むとき、そこの一員として貢献できるようになるための教科書としても本書は面白いです。
お薦めな良書でした。