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経営者に大事なのは「何を目指すか」だとわかる、そんな本。
著者であるHILLTOP株式会社 副社長 山本氏が目指したのは
「社員が誇りに思えるような"夢の工場"をつくろう」
「油まみれの工場を"白衣を着て働く工場"にしてみせる」
やってる自分がカッコいい、そう思える職場にしたい、ということでしょうか。
企業規模の大小ではなくて、「毎日が面白い」「挑戦し甲斐がある」そんな仕事が出来るといいなぁと思うものの、そう簡単なことでもないですね。
本書はHILLTOPが「夢の工場」を目指して」変革していく中で大事にしてきた考え方や施策の一挙公開という書籍。
変えたのは、人、本社、つくるもの、つくり方、取引先。
本書の中でも明言されていますが
会社を変える原理原則は同じ
は、その通りで、それ自体は普通すぎる話です。
違うのはその徹底度。
「どのツールを、どの順番で使ったか」
そういった職人技術の定量化は、理屈は簡単でもやるのは考えただけでも大変だと分かります。
HILLTOPでも1年半はかかってしまったとのこと。
定量化とその定着にITが駆使されたということは書かれていませんが、感覚的、定性的だったものまで定量化する、それはDXそのものです。
本書から伝わるのは、何を目指し、そこに向かって邁進することの大切さです。
そういう意味では具体的な施策というよりは、経営者向けのアドバイスが本書のコアと言えそうです。
- 知的作業を人が担い、ルーティン作業は効率よく情報化・機械化する
- 人が育たない会社に未来はない
- 経営者の仕事は外からチャンスを持ってきて、事業にすること
言うだけなら簡単ですが、実践するのは途方もなく大変なはず。
特に軌道に乗せるまで、結果が見えるまでを乗り切るのはものすごく辛かったはずですが、そこの言及は控えめでしたね。
王道的に考えるなら、最低限の売上げを確保しながら、変革の必要性を社員に説き続け、励ましながら新しいやり方に移していくのでしょう。
やっぱり、言うだけなら簡単ですね。
やり切ったHILLTOP経営陣に敬服します。
- 作者:山本 昌作
- 発売日: 2018/07/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)