読了 - 脳科学に基づく働き方革命 Alive at work
労働人口の圧倒的多数は自らの仕事に「没頭・熱中・尽力」していない
- 80%の労働者が自分のベストを発揮できないと感じている
- 70%は仕事に意欲的に取り組めていない
- 17%は、あえて「積極的に」仕事に関わらないようにしている
~本書の序章より~
第一印象としては「大げさな指摘」ですね。
でも、身近な企業を思い浮かべてみてください。
仕事に熱中している人は10人中、何人いますか?
私は、追い込まれたり、追い詰められたりして没頭している人なら思い出せます。
でも、楽しそうに、あるいは使命感に燃えて仕事に熱中してる人と限定してみると1割も思いつきません。
一方で本書は「従業員たちのワーク・エンゲージメントの低さは、モチベーションの問題ではなく、探求脳を不活性化したせいだ」とします。
探求脳とは何もので、どういう影響を与えるものなのか
ざっくりと探求脳についてまとめると、
- 探求脳とは、世界を探検し、周囲の環境について学び、自らの境遇から意味を引き出す本能的な脳の機能。
- 私たちは、探求脳の衝動に従うことでドーパミンが放出され、もっと探検しようという気持ちになる。
- 探求脳は探検・実験する対象に対して、強い意欲・目的意識を呼び起こす。
- 逆に探求脳を抑制し続けると、私たちは失望し、学習性無力感(=努力しても改善できない、と学習してしまう)を感じてしまう。
職場が探求脳を不活性化した、というのは
考えれば当たり前のことですが、探求脳が活性化することによる「探検・実験・学習」は常に良い結果を効率的に生み出す訳ではありません。どちらかと言えば「一発狙い」で、空振りが多くなります。
産業革命以降に成功した組織が発展させたのは従業員を統制する官僚制度と管理手法でした。
組織の規模が拡大していく中で、これらの制度、手法が大きな効果を発揮してきたことは事実です。
しかし統制され続けた従業員は、評価されるために自己の探求脳と「より良い結果を求める気持ち」を封印してしまったという訳です。
改めて活性化すべき探求脳
社会の変化が激しくなり、確実な「成功への道」が示せなくなった昨今、イノベーションを起こせる人材が必要であることは、企業のトップにとっては常識となっています。
そのためには、イノベーションを起こせる人材を探し出して雇い入れるか、自社の従業員の中からイノベーションを起こせる人材を掘り起こすしかなく、後者の方が施策としての現実味があります。
(イノベーションを起こせる人材が引っ張りだこでしょうから)
イノベーションを起こさせるための施策=探求脳の活性化だ、ということなんですね。
本書では探求脳の活性化の事例をいくつか紹介していますが、分かりやすい方程式があるわけではないので、それだけで探求脳の活性化につながるのかどうかが難しい感じがします。
ただ、基本的な考え方は参考になるので、それぞれの組織で試行錯誤するときの一助とするのが良さそうです。
探求脳を活性化させる3つのトリガー
- 自己表現
- 自分独自の価値観やアイデンティティ、持ち味を表現できるような肩書きを自分で考える
- 実験(新たな試み)
- 過去の教訓に基づいて新しいアプローチを考え出し試す余裕が、成果をあげるまで戦略を練り上げ続けることを実現する
- 目的意識
- 自身が投入したものと自チームの進捗との間に因果関係をみつけることができた時にも目的に対する意識や感情がかき立てられる
自分で考える自分の肩書きは、「自分は何者であるか」を自分にも周りにも伝えることになるので、いい手法だと思います。
なんかいいの考えよう。
- 作者:ダニエル M.ケイブル
- 発売日: 2019/11/23
- メディア: 単行本