読了 - ガリガリ君の秘密 赤城乳業・躍進を支える「言える化」
実は私もガリガリ君が好きだったので読んでみました…みたいな話を予想する方もいそうですが、ガリガリ君はほとんど食べません。
アイスは井村屋のあずきバーが最高だと信じてます。
言える化を実現する「場」と「仕組み」
本書にもあるように、言える化を実現するには、発言できる「場」を設けることと、発言を受け止めるだけの「土壌」が必要です。
「場」を設けること自体は出来そうだし、実際にトライしてる企業もあります。
でも、難しいんですよね。
思いを封じられ、上の顔色を見て行動せざるを得なかった組織だと「言える場」を提示されても、そう簡単に「言える」ようにはなりません。
これって社内で情報共有できるコミュニティサイトを作るのに少し似ています。
立ち上げたばかりのサイトだと「ちょっとしたことで構いません」「誰でも気軽に発信していいんですよ」って声かけしても、普通は誰も投稿しないんですよ。
発言していいと思える状況を作らないとダメなんです。
赤城乳業は施策の細かな点に「言える化」を大事にする考え方が織り込まれているようです。
言える「場」を作る
赤城乳業では11の委員会、5つの商品開発プロジェクトで若手や中堅の社員をリーダーに据え、社長や役員はアドバイザーとして支える形態をとっている。
しかもこれが形だけでなく、ある定例会議での常務は最初の一言だけ発言した後、会議室を退出することが、会議の進行表に明記されてるところがスゴイです。
なお、本書ではどんな委員会なのかも簡単に紹介しているのですが、中でも「これはいいな」と思ったのは「ホームページ委員会」。
「ホームページを活用し、情報を発信し、ファンを獲得する」のが目的だそうです。
営業や広報以外の部署にいる人も一緒に集まって、顧客に何を発信するのがいいのか、どうすればファンになってもらえるのかを考えて、トライする委員会は、顧客目線を持つことの大事さを全社に広めることが出来るに違いありません。
羨ましいものです。
言える「場」維持する仕組み
社内に「場」を作っても有名無実化するのは簡単です。
赤城乳業でやってる言える状態を維持するための仕組みの代表的なものが以下の4つだそうです。
- 失敗にめげない評価の仕組み
- 部下が上司を評価する仕組み
- 「学習する組織」へ脱皮する仕組み
- 帰属意識を高める仕組み
特にサラリーマンだけに評価は重要だと思います。
赤城乳業常務が挙げた例には
ある社員の失敗を評価していたら、結果は失敗だったが、他の面での貢献につながっていることが分かった。"ペナルティ"どころか加点評価になった。
というのがあったとか。
人事評価における「失敗」の定義が事業としての成否だけで判断してないということなんでしょう。
■上司を評価する仕組み
基本的な上司を評価するポイントとしては、
- コミュニケーションの程度
- 方針や指示の明確さ
- 支援や助言の程度
だそうです。
上司評価の最後には「あなたの上司を評価すると?」との質問があり、選択肢は部門ごとに違うのですが、例にあげられてた部署の最後の選択肢はいずれも「早くこの上司から離れたい」。
部下を持つ身にはきっと怖い評価でしょうけど、フェアな関係を築くことが言える化にとって不可避であると認識していることを知らしめる姿勢なんですね。
■部門を横断する取組みへの参加
赤城乳業の目標管理には委員会や部門横断プロジェクトへの貢献や参加希望を書く欄があるそうです。
定期的な上司との面談で本業以外の取組を話すことになっていれば、当然、意識することになります。こうして「言える場」に参加することを組織的にサポートしてるというわけですね。
本書は、読み易い体裁をとっていますが、言える化を本気で実現するための細かな工夫が紹介されています。
ウチでもなんか始められないかなあ。
ガリガリ君の秘密 赤城乳業・躍進を支える「言える化」 (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 遠藤功
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2019/06/04
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