読了 - ひとりビジネスの教科書
新型コロナが水を差した印象はあるものの、起業をテーマにした書籍が増えましたね。
今の仕事を変えるとすれば起業も選択肢の一つかなぁ、と思って本書を読んでみることにしました。
著者は
会社を辞めずに、ひとりビジネスにトライしてみましょう、というのが私の主張
と提言しており、本書はこれに沿って「まず始めるために」をひも解く書籍のようです。
構成は、1章がこれから始めるビジネスのテーマ。
2章は売り物にするコンテンツ。
3章が情報発信。
4章で集客と販売。
5章がビジネスを回し続けるための仕組み化。
6章がコミュニティづくり。
7章で未来。
と、駆け足気味ですが「まず始めるために」を考えるためのアドバイスとなっていました。
一言でまとめるなら「ひとりビジネス入門書」。
まず読んでみて、始められるきっかけを探すには良さそうです。
本書の中で応用範囲が広いなと思った問いかけは
あなたのキャッチコピーは何ですか?
ひとりビジネスでなくても、自分のキャッチコピーを持つことには大きなメリットがあります。
一つは、周囲に覚えてもらいやすくなること。
もう一つは自分に対する心理的な効果。
キャッチコピーとして掲げてしまったセールスポイントに相応しい実力がないと、居心地が悪くて仕方ない心理状態になるんですよね。
だから自発的にセールスポイントを強化しようとしてしまいます。
いつしかセールスポイントはホントの強みに変わっていく(はず)。
いい機会なので、自分のキャッチコピー、考えてみましょうよ。
読了 - 地頭力を鍛える
ナントカ思考は世の中にあふれている。
ロジカルシンキングをはじめ、いくつも思考法を学んで試し続けていると、その視点や思考の切り口がだんだんと身についてきて、新しいことに取り組むにしても効率が良くなる実感があるものです。
ただ、いろんな思考法を知って使ってるつもりでも、ふりかえってみると忘れてしまってる考え方や、偏りがあることに気づきます。
だから、基礎を忘れないためにも時々は書籍で学びなおすのがおススメです。
「考える」を考える
本書は「考える」そのこと自体を論理的に捉え、構造化したもの。
- 「結論から考える」仮説思考力
- 「全体から考える」フレームワーク思考力
- 「単純に考える」抽象化思考力
本書は3章で「地頭力」の全体構造をザックリと俯瞰。
その後、仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力と、3つの思考力をブレイクダウンして解説していきます。
読後に本書全体を振りかえってみると、地頭が良い人が「考える」こと自体をロジカルに考察するとこうなるんだなぁと感心させられます。
つまり本書は地頭力を鍛え方であるだけじゃなく、「こんなアウトプットが出来るようになれば合格」と言える正答例でもあるんです。
「地頭力」とは何か、どのように鍛えるのかを学び、自分を鍛えていくという意味では非常に有効な書籍です。
特に、地頭力を「結論から」「全体から」「単純に」この3つにまとめたことで、再利用しやすい思考習慣にできる点は秀逸ですね。
考えるべきテーマに出会ったら、「結論から」「全体から」「単純に」と唱えてみることから始めてみるとしますか。
補足
3つ目の「抽象化思考力」。
細谷功さんの書籍にこれをテーマにした「アナロジー思考(amazon)」があります。
ずっと前にこの本を読んだとき「これ、めっちゃパワフル!」と感動でした。
「アナロジー思考」も是非、おススメします。
読了 - 40歳GAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法
この会社(GAFA)の中で求められるものはロジカルさ、分析力、行動力、人を動かす力などハイレベルのスキルセットでした。
本書は著者の寺澤さんが20代のときに教わった思考法を、当時の上司Nさんとの会話をきっかけに解説するスタイルになってます。
Nさんとの会話を身近に感じる臨場感が理解を深めるというのが著者の狙い。
20代の方なら「自分のこれからを良くする」ために。
20代を超えた人には「教え方」を学ぶテキストとして良いですね。
「美味しいカレーのつくり方」の答え
「寺澤くん、美味しいカレーを作るには、どうしたらいいと思う?」
最初に登場するNさんからの問いかけがコレでした。
どう答えますか?
本書では寺澤さんがNさんから
「まず、寺澤くんの回答は視野が狭い。もっと『全体像』を見ないと 」
バッサリとダメ出しされた後、
「何か提供するときは、その提供先のことを考えること。『誰にねらいをつけるか』というターゲティングが必要なんだよ。」
そして、寺澤くんは全体像を見ることの大事さを知る、という良い話に落ち着いて進みます。
でも、最初の問いに対して私が考えた答えは『美味しいカレーを作れる料理人を捕まえて丸投げ』でした。
手抜きじゃないんですよ、これでも。
実際、Nさんの解説を読んだ後も私の意見は変わりません。
「美味しいカレーを作るにはどうしたらいい?」とだけ問われたら「優れた料理人に任せる」が最適解だと思います。
それでは理由を説明しましょう。
そもそも「美味しい」は主観に過ぎないため、「誰にとっても美味しい」は実現不可です。
次に美味しいカレーに最低限必要なものを考えます。
それはレシピ(材料の構成と調理プロセス)、材料、それを活かす料理スキル、です。
これが揃わないなら、誰に提供するかなど考えるだけムダです。
レシピと材料があって、優れた料理人が確保できたなら、カレーを提供するターゲットや諸条件が変わっても対応できる確率は高いはずです。
よって結論は『美味しいカレーを作れる料理人を捕まえて丸投げ』が最適解となるわけです。
「教え」における「問いの発し方」
私が美味しいカレーのつくり方をNさんに答えたとすれば、きっと「全体像を見ることが大事」という教えを伝える流れにはならなかったでしょうね。
ここで考えてみるべきは「問いの発し方」です。
問いかける相手の思考パターンを適切に想定して、問いを発しないと伝えたかったこと(全体像を見る)を伝えられないまま、話が逸れていってしまうわけです。
つまり「教え」は相手に対する日々の観察や対話が前提として存在しないと成立しないということなんですね。
リモートが増え、職場でもオンラインでの交流が中心になったとしても仕事仲間との相互理解は外せないと思い起こした書籍でした。
なんか、おかしいですか…
まあ、気づきが得られたから満点ということで。
読了 - クォンタム思考
微分と量子力学の話、多いな…
パラパラパラっと本書を眺めみると「読み飛ばしてOK」のアイコンが結構たくさんある気がします。
「クォンタム」って量子のことですから、量子力学の話が出てくることは予想しましたが、控えめに言って、割りと書いてます。思考法の話じゃなかったっけ?と気になるレベルで。
まあ本文に「初回は読み飛ばしてOK」と書いてあるので、遠慮なく斜め読みで良いでしょう。
クォンタム思考とは「未来じゃこんなの当たり前」を見つける思考法
で、タイトルになってる「クォンタム思考」とは何か、です。
本書からいくつかピックアップすると
- 正解があるかどうかも分からない課題に直面した時に、正解にたどり着く方法
- 一見すると「成功」が続いているように見受けられる状況の中で、課題をいち早く発見する方法
- 日常感覚の世界を飛び越えたような比類なき思考
- 天才物理学者の日常感覚にとらわれない発想法
およそ一般人が習得できそうな思考法に見えません。
あえてイメージで言うなら、タイムマシンで未来を覗き見ると、今からは想像もつかないような世界や仕組みがあることでしょう。
その未来の「当たり前」と「今」を強引に結びつける感じでしょうか。
知識を幅広く集めて(これが「フレーム・オブ・リファレンス」)、常識ではあり得ないことが起きたとすれば、
- 何が変わるのか?
- どうなるのか?
この答えを夢想して、現実とのギャップを埋める道筋を見つける思考法がクォンタム思考、と理解しました。
何から始めよう?
何よりも幅広い知識、フレーム・オブ・リファレンスが必要です。
本書ではフレーム・オブ・リファレンスの形成方法論として5つを挙げています。
量子力学が関係なさそうに見えますが、パラダイムシフトを実感することが大事なのだろうと思います。
英語は「英語でないと得られない知識・情報」が少なくないから。
DeepLは便利だけど、まず知識や情報を見つけないと翻訳できないから、英語で探すスキルが必要なんでしょう。
集める知識は幅広さが大事なので、まずは苦手あるいは接してこなかった領域から始めるのが良いのかもしれませんね。
読了 - 行動の品質
うまくいく起業家と、うまくいかない起業家の違いは何なのか?
~本書のはじめに より~
この問いは面白い。
確かに起業するくらいなんだから、発想が鋭く、知識もバイタリティーもある。
会社員とは桁違いに主体的、かつ情熱的にビジネスに取り組んでいるに違いない。
それでも成功する起業家と成功にたどり着けない起業家がいる。
その違いから成果を出す人の行動特性を抜き出したのが本書。
著者はこれを「行動の品質」と命名したようだけど「品質」というよりは「特性」という言葉の方がしっくりくる。
(品質というなら測定可能でないといけない、と考えるのがエンジニアだもんで…)
分かり易いんでピックアップさせてもらうと、本書の提言を凝縮しているのが次の一文。
最速最短最少で最大最高最適な成果を出すことを最優先で考える
国内有数の独立・企業支援の会社として10年間で1万人以上、支援してきた経験に基づく著者の結論がコレ。
成果を出す人は、この一点に対するこだわり、集中度が突出しているとのこと。
本書では、成果を出す人の行動特性について紐解いているので、自分なりに考察したり、参考にしてみるのに良いかと思う。
成果を出す人はまわりを巻き込む
圧倒的に成果を出す人は、自分一人でできることの少なさや小ささを知っています。
本書ではこのように成果を出す人の心情を説明していましたが、それだけではないと思います。
付け加えるなら「より良い結果を求めているから」でしょう。
より良い結果を求めるから、「自分よりも得意な人」や「自分と異なる視点」が必要不可欠だと考える。
だから周りを巻き込んで、自分だけでは到達できない成果を目指すのでは、と思います。
雑感
途中、ちょっと意図が読みとりにくい個所もある。
3章の「水戸黄門の印籠の威力を、あらためて検討してみる」とか。
できるだけ簡単にまとめると、第三者にとって分かりやすい目印となる指標や実績、肩書を持てば、その目印が自分の裏付けになる、と言えばいいかな。
本書中、著者のこととして、以下のようにあるのがその例え。
会社設立に関して日本で一番のページ数を誇るブログを持つこと
これを読めば著者(伊藤健太氏)に会ったことがなくても「会社設立について詳しい人」なんだと思ってしまう。
まとめとして
行動はゴールイメージに大きく影響を受ける。
そしてゴールには純粋なアウトプットという意味での成果と、「ありたい姿」がある。
どうバランスさせるかが自分自身の行動指針になる。
本書をそんな風に読み解いてみたけど、あなたは、どう読む?
読了 - シノ社長の経営塾
タイトルで選ぶと肩透かし
本書はYouTubeチャネル「シノ社長の経営塾」からの派生商品みたいなもので、本書タイトルはこのチャネルから来ていたんですね。
内容的には著者自身の成果行動を抽象化したのが本書。
曰く、成果をあげるには
高濃度な環境で仕事をすること…(それには)常に新しい視点を学習しつづけ、自らの行動改善を高速でループさせていくことしかありません。
仕事術としては、読みやすくて良い本だと思います。
面白かったポイントをいくつか
仕事ができる人の特徴(2章「仕事ができる人」が実践していること)
身近でこの特徴を備えた人を見つけて、出来るだけ寄り添ってみるのがおススメです。
そして出来る人の考え方や行動を見て、一緒に行動できるようになるのがレベルアップの近道になるでしょう。
なお、最後の期待値調整というのは、相手に対して失望させない程度に悪い方の予想を伝えておき、あとでその期待値を少しだけ超える結果を返す、というもの。
そうして「お、頑張ってくれたんだ」という印象を作るんですね。
期待値の与え方や、あとで超える加減は肌感覚なので、出来る人がやってるのをすぐ近くで観察できると習得しやすいです。
チームビルドは副次的な効果(4章「生産性の高い会議」をおこなう方法)
会議の目的として「チームビルド(組織づくり)」を挙げる人もいるでしょう。しかしチームビルドは、あくまで会議することによる副次的な効果に過ぎず、会議自体の目的にはなりません。
ダメな会議を続けている人ほど、チームビルドを会議の目的に挙げる人が多い気がします。
チームビルドには、むしろコラボレーションすることで成果を高められる仕事に取り組むとか、気軽に雑談できる場や雰囲気を作る方が良いでしょう。
リモート中心で顔を合わせたり雑談しづらいなら、毎日決まった時間にコーヒーブレイクタイムを設けて、みんなでオフの時間を共有するのでも良さそうです。
経営もビジネスマンとして一人前になることから始まる。
そう考えると本書のタイトルがまったくズレてるとは言えないのかも、と思うところです。
ただ、塾というからには、何回か続くのは前提のハズ。
YouTubeチャネルだけじゃなく、書籍でも経営をテーマにした続編を期待したいです。
読了 - リフレクション
リフレクション(Reflection)とは、自分の内面を客観的、批判的にふりかえる行為。「内省」という言葉がもっとも近いでしょう。
本書はそのサブタイトルにあるように内省の技術(とういうか手法だな)を解説する書籍。
基本としては、客観視するための「認知の4点セット」と5つのメソッドの組み合わせでリフレクションを進める。
「認知の4点セット」とは、意見、経験、感情、価値観、この4つの切り口で客観的にとらえるというもの。
5つのメソッドとは、
- 自分を知る
- ビジョンを形成する
- 経験から学ぶ
- 多様な世界から学ぶ
- アンラーンする(学んだことを手放す)
例えば、自分が行動した、その動機の源を探す場合
- 大切だと思うキーワードを選ぶ(意見)
- そのキーワードを大切だと感じた経験がどのようなものだったか(経験)
- その時、どのような気持ちだったか(感情)
- そこから見えてくる、あなたを突き動かすものは何か(価値観)
と、メソッドごとに「認知の4点セット」で掘り下げていく。
大事なのは過去を反省するのではなく経験を伝承・再利用可能な知恵に変えるということ。
「認知の4点セット」に対する考察
些細なことだとは思うものの個人的には「認知の4点セット」に引っ掛かりを感じた。
図中や記載でも、意見、経験、感情、違和感 の順番になっており、このフレームワークは本書の終盤まで続く。
何が引っかかるのかを振り返ってみた結果、気づいたのは「順番」。
経験に対してふりかえるなら、なによりも本人の視点での事実認識が最初のステップ。
意見から始めるというのが自分の流儀とは違っていたらしい。
自分なら、内省は以下のような順番になる。
- どのような経験をしたのか?(事実認識)
- 事実に対して、どのように感じたのか?(感情)
- 経験した事実は、良い結果だったのか、それとも悪かったのか?(評価)
- 何故そうなったのか?そこにどんな背景や構造があり、どのように進んだから、その結果に至ったのか?(分析と考察)
- 経験した事実から法則性や対処法をまとめる。(知識)
- 知識を応用可能にできるようになれば知恵になったと言える。
「アンラーン(Unlearn)」という言葉
本書でアンラーンとは「過去の学びを手放す行為」と説明されている。
「学びを手放す」というと抽象的な表現で分かりにくい。
実際には「過去に学習したことに固執するな」という話らしい。
でも「固執しない」と「手放す」は同じ意味には取りにくい。
過去に学習したことに固執するのは、それが「ある条件下で有効」という前提を見落としていることに起因している。
つまり条件が過去と同じなら、その学びは有効なままで手放す必要もない。
しかし、時代は変わり、自分を取り巻く環境も変わる。
それが「過去の学び」では対処できない事態を連れてくる。
学びもそこに適応する必要がある。
だから「学びを手放す」というより、もう一段階、学びをレベルアップすると考える方が誤解がない。
行き詰ったら(行き詰ってなくても)ゼロベースで考えるという習慣を持つのが、その対策。
自分の境界線の外にある世界から学ぶ機会
対話は、自分の内面を客観視するリフレクションの機会であり、自分の境界線の外にある世界から学ぶ機会でもあります。
なんとなく、しっくりこない箇所もあった本ではあるけれど、本書との出会いを別の視点との交流として受け止めればよいと気付いた。
異なる視点は、考察を深めるための刺激として大いに意義がある。
内省そのものは、間違いなく大事にすべき習慣。
共感する、しないで書いてあることを批評的に構えるでのはなく、学びの機会だと考えた方が精神的な健康にも良さそう。
共感するか違和感を感じるかは読者次第。そのつもりで読めば学びの機会には違いない。
(ちょっと読みつかれたけど…)