読了 - リフレクション
リフレクション(Reflection)とは、自分の内面を客観的、批判的にふりかえる行為。「内省」という言葉がもっとも近いでしょう。
本書はそのサブタイトルにあるように内省の技術(とういうか手法だな)を解説する書籍。
基本としては、客観視するための「認知の4点セット」と5つのメソッドの組み合わせでリフレクションを進める。
「認知の4点セット」とは、意見、経験、感情、価値観、この4つの切り口で客観的にとらえるというもの。
5つのメソッドとは、
- 自分を知る
- ビジョンを形成する
- 経験から学ぶ
- 多様な世界から学ぶ
- アンラーンする(学んだことを手放す)
例えば、自分が行動した、その動機の源を探す場合
- 大切だと思うキーワードを選ぶ(意見)
- そのキーワードを大切だと感じた経験がどのようなものだったか(経験)
- その時、どのような気持ちだったか(感情)
- そこから見えてくる、あなたを突き動かすものは何か(価値観)
と、メソッドごとに「認知の4点セット」で掘り下げていく。
大事なのは過去を反省するのではなく経験を伝承・再利用可能な知恵に変えるということ。
「認知の4点セット」に対する考察
些細なことだとは思うものの個人的には「認知の4点セット」に引っ掛かりを感じた。
図中や記載でも、意見、経験、感情、違和感 の順番になっており、このフレームワークは本書の終盤まで続く。
何が引っかかるのかを振り返ってみた結果、気づいたのは「順番」。
経験に対してふりかえるなら、なによりも本人の視点での事実認識が最初のステップ。
意見から始めるというのが自分の流儀とは違っていたらしい。
自分なら、内省は以下のような順番になる。
- どのような経験をしたのか?(事実認識)
- 事実に対して、どのように感じたのか?(感情)
- 経験した事実は、良い結果だったのか、それとも悪かったのか?(評価)
- 何故そうなったのか?そこにどんな背景や構造があり、どのように進んだから、その結果に至ったのか?(分析と考察)
- 経験した事実から法則性や対処法をまとめる。(知識)
- 知識を応用可能にできるようになれば知恵になったと言える。
「アンラーン(Unlearn)」という言葉
本書でアンラーンとは「過去の学びを手放す行為」と説明されている。
「学びを手放す」というと抽象的な表現で分かりにくい。
実際には「過去に学習したことに固執するな」という話らしい。
でも「固執しない」と「手放す」は同じ意味には取りにくい。
過去に学習したことに固執するのは、それが「ある条件下で有効」という前提を見落としていることに起因している。
つまり条件が過去と同じなら、その学びは有効なままで手放す必要もない。
しかし、時代は変わり、自分を取り巻く環境も変わる。
それが「過去の学び」では対処できない事態を連れてくる。
学びもそこに適応する必要がある。
だから「学びを手放す」というより、もう一段階、学びをレベルアップすると考える方が誤解がない。
行き詰ったら(行き詰ってなくても)ゼロベースで考えるという習慣を持つのが、その対策。
自分の境界線の外にある世界から学ぶ機会
対話は、自分の内面を客観視するリフレクションの機会であり、自分の境界線の外にある世界から学ぶ機会でもあります。
なんとなく、しっくりこない箇所もあった本ではあるけれど、本書との出会いを別の視点との交流として受け止めればよいと気付いた。
異なる視点は、考察を深めるための刺激として大いに意義がある。
内省そのものは、間違いなく大事にすべき習慣。
共感する、しないで書いてあることを批評的に構えるでのはなく、学びの機会だと考えた方が精神的な健康にも良さそう。
共感するか違和感を感じるかは読者次第。そのつもりで読めば学びの機会には違いない。
(ちょっと読みつかれたけど…)