読了 - 仮想空間シフト
延長線上にない未来
ライフシフト、エネルギーシフト、ダイバーシティ、学歴や大企業というだけでは安泰を得られない社会。
いろんな意味で変わり目に来てる。それを一言にまとめるとVUCAになるんでしょうね。
先が読めない時代といっても全く読めないわけではない。
どっちに向かうかくらいは、みんな分かってる。
人生は長く延びたし、脱炭素も女性活躍推進も進める以外の選択肢はない。
そんなことは分かってる。わからないのは、この変化を乗り切る方法。
仮想空間シフトもその変化の一つ。
コロナのせいで
いずれそうなるはずの未来の姿に、少し早く強制的に進化させられた。
それが今。
始まってしまった変化は止められない。
選択肢を理屈で考えると、変化に沿うか、抗うか、変化を起こす側にまわるか、その3択ですかね。
イヤな人もいるだろうけど、多くの人にとって現実的な選択肢は「変化に沿う」。
この先の変化を理解し、受け止めて、今とのギャップを埋めていくやり方。
ガートナージャパンの発表(2021/4/6)によれば『2025年までに日本企業の30%が「リモートファースト(リモートをメインにする事業や就業のスタイル)」に転換』なるらしい。
この予測、外れるとしても時期が前後するくらいで「リモートファースト」が増えることに変わりはない。
だったら今のうちに、この先でも生きてくためのシフトを試し始めるのがベターです。
本書は訪れる「シフトした後」をイメージするのに良いです。
イメージできれば行動に向かうことができるはず…です、理屈では…
例えばどう行動したら?
これについては「自分で考えろ」でも良さそうだけど、本書の5章で10のアクションが解説されています。
この10のアクション、目次だけで見ると抽象的すぎてわかりにくいです。
是非、本文も読むことをお勧めします。
(「シフト」で探すとレバーの画像がいっぱい。これも近いうちに消えていく…)
ちなみに、今回本書を読んで一番共感した個所
仮想空間に居る時間が増えると、リアルの刺激を感じる機会を積極的に作る必要がある。
です。
探して出会うのではなく、見慣れない場所や、初めてやることに自ら飛び込む感じですよね。
まだ、コロナで出かけにくいけど、落ち着いたら初めての場所に行ってみたいものです。
読了 - カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方
カルチャーはいわば、会社にとって何を優先すべきで、どんな意思決定をし、どんな戦略を立てるかを考える際、指針となる羅針盤のようなもの
会社として「何を好むか、何を嫌うか」というモノは、どこの会社にもある。
失敗に対して厳しい会社、トレーサビリティにウルさい会社、前例踏襲主義の会社、「まずはやってみよう」という会社、いろいろあるものです。
いろんな会社とお仕事すると気づくのは、その組織のカルチャーに合わない話を受け入れてもらうには膨大な労力がかかるし、進めるにも時間がかかること。
このため出来るだけ早い時期に、相手のカルチャーを読み取って、これに沿う話に仕立てていくのがITエンジニアとしては大事。
ところで本書はそういう話ではありません。
人や組織力を強みとしている企業に共通しているのは「組織のカルチャーを社内外に浸透させることに力を注いでいる」こと。
そのためにはカルチャーが自然に醸成されるに任せるのではなく、トップダウンでカルチャーを設計、言語化し、浸透させる必要がある、という話。
カルチャーを浸透させることが効果的な典型が採用。
カルチャーを公開し、従業員がそれに沿って行動することで、共感した人が吸い寄せられてくる。
サントリーの「やってみなはれ」(「やってみなはれ の歴史」を参照)なんかがいい例ですかね。
2章から5章がカルチャーを設計、言語化、浸透させるための具体的なプロセスと事例研究という構成になっています。
特に5章。「カルチャーの浸透のさせ方」として、本書全体の25%に相当するページを割いているところからも浸透させることの難しさと重要さを表している。
組織運営に携わる方、組織の体質を変えたい方には一読の価値あり、と思います。
読了 - リーダーのためのフィードバックスキル
フィードバックを受ける機会、する機会
勤め先でフィードバックを受ける機会というと、年に一回を振り返った「1年間、ご苦労様でした」的なことを言われるぐらい。
これって、自分の何かを変えるための話し合いではないな。
行動を変えることに近いのは「レビュー」。
もっとも、作成物に対する出来栄えと改善点を話す場なので、行動に対するものではない。
では、フィードバックをする機会はあるか?
これはあるな。
プロジェクトごとに組まれたチームで仕事をすることが多いので、メンバーに対して、「こういう風に進めてくれると嬉しい」という表現で伝えることはよくある。
つまり、フィードバックはチームで成果をあげ、心地よく仕事を進めていくために必要なもの。
ただ習得するというよりは、常にリファインしていくものだと思う。
フィードバックスキルは、ビジネスにおける総決算スキルの一つ
フィードバックを適切に行うために必要なのは
観察力、客観性、アクティブリスニング力、思いやり、相手が腹落ちするコミュニケーションスキル、一貫性、継続性、誠意、信頼、影響力、自律性など
と、本当にハードルが高い。まさにビジネスにおける総決算スキルというのもわかる。
そこで本書はこのフィードバックスキルを理解し、身に着けるためのアプローチを提供するもの。
主な内容は、
- マッキンゼーがフィードバックを大切にする理由
- フィードバックのやり方
- チームでやるフィードバック「チームラーニング」
- フォーマルなフィードバック
といったフィードバックの考え方とメソッド。
フィードバックをするときは、つい、あれもこれもと言ってしまったり、ちゃんと伝えようと思うばかりに話が長くなったりしてしまう。
本書は自分のスタイルが適切なのかと見直すことができる点でも良書だった、と思う。
読了 - おもしろい話「すぐできる」コツ
二択で選ぶと感情が記憶を呼び覚ます
書名からズレて見えるけど、本書で一番印象に残ったのがこの話。
話しているエピソードが自分にとってどういう経験だったのか、記憶が曖昧なことはよくある。
そこを強引に「ポジティブ」あるいは「ネガティブ」な経験だと選んで口に出すと、当時抱いた感情とのギャップを感じる。
そのギャップを埋めるように言葉をつなぐと、だんたんと当時の感情と状況を思い出すことが出来るという。
人間の脳に対しては「最初に感情を大雑把に口にする」ことで、当時の感情の記憶がするすると出てくるようになっている
この話、スッと腑に落ちた。
以前から実感してきたことだけど「違和感」は使い方次第で強力なパワーを発揮する。
想いをうまく言語化できなかったり、考えをまとめきれない人は珍しくない。
そういう時、「どの辺りに違和感がありましたか?例えば~な感じでしたか?」と言語化する叩き台になることを提供してあげると、その叩き台と自分の考えとのギャップを感じるらしく、
「いや、そうじゃなくて…」
と、少しずつ具体的なことを話せるようになる。
これ、トラブルシューティングの時に何が起きたかをヒアリングするときに結構使える。
(違和感の使い方については、いずれご紹介したい)
「面白さ」は聞き手にとってのギャップ
本書の「おもしろい話」は、笑いをとれる話という意味ではない。
笑わせることができる時もあるかもしれないけど、興味ぶかいという意味の「おもしろさ」の方。
本書の内容をまとめると、
普通の人にとって面白い話を作り込むのは簡単ではない。
むしろ自分の感じたことを、そのまま丁寧に説明するように相手に伝えること、それだけで相手にとって面白い話になる。
そもそも聞き手は話し手のすべてを知ってる訳ではない。
このため自分の感じたことや、こだわりを丁寧に表現すると、それ自体が聞き手の先入観とのギャップになる。
それが聞き手にとって面白い話として受け取られる。
という話。
ただ、話をすることに慣れてない人にとって「感じたことを丁寧に」それ自体が難しい。
そこで登場するのが、上述した「二択で選ぶと感情が記憶を呼び覚ます」という方法。
自分の感じたことだから、少々強引でもウソにはならない。
でも、ちょっと頑張って話をはじめることで、記憶をたぐり寄せることができるから、補足するように話をつなげていけばいい。
自分らしくでいいから、怖がらずに自己開示することで聞いてる方には面白い話になる。
だから思い切って話せばいいよ、という話。
本書を読んでみたら「あ、そんなことでいいの」と思えるかも。
読了 - BtoBマーケティングのデジタル化・DXを任されたら読む本
「デジタルマーケティングとは何か?DXとは何か? こうした内容についてはあえて触れません。」
はじめに で、いきなりの宣言。
「任されたら読む本」というタイトルだったのに? と、思わずツッコミたくなる。
ただ、「デジタル化やDXという言葉に踊らされて大事なことを忘れるな」というのが本書のメッセージ。
似たような話が…と思い出したのがニトリHD会長がDXについて尋ねられた時の発言、
よくわからないけど、お客様にとって何が大切なのかを考えることですよ
DXなんて言葉はどうでもいい。デジタル化が目的のハズがない。
そんな力強い言葉。本書もニトリHD会長と同じ立場。
そこで本書の構成は
- デジタル化のために必要な準備
- データ分析を始める前に
- 優先順位をどう付けるか?
- お客様に向き合うために揃えておきたい「コード」とは?
結局、1~3章までかけて言ってるのは「始める前にやっとくこと、考えておくことがある。」
そう、至極まっとうな話。
詳しくは本書で読んでもらうとして、まず考えるべきことは
- データ化できるモノと、できないモノを洗い出す。
- 最初から考えすぎて始められないという愚は避けること。
- 最初は、効果が見えやすいものから。
やっぱり、出来るだけ早いタイミングで効果が見えると、活動に勢いが出る。
それで効果がすぐに見えるアクションや指標はどうやって見つけるのか、という話は本書の対象外。
個人的なおススメは「因果ループ図」。
(10年前のブログですがこちらで簡単紹介:システム思考って、やっぱりコレが肝かな?)
まず、動かしたい指標(コンバージョン率、とか?)を選び、次にその指標に影響を与える項目を芋ヅル式に描き出す。
概ね描き出せると、指標への影響が大きい項目やトレードオフが見えてくる。
そして、やってみて期待通りにいかなければ、施策を変える。どんどん変える。
効果が出るまで機敏に、機動的に変えていけば良い。
なお、4章は章タイトルだけだと「?」ですが、デジタル化を推進する側と推進を受ける側で言葉の意味を揃えておかないといけないってこと。
読了 - 町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由
答えは「スループットを最大化することによって売上・利益を上げたから」。
スループットはというのは、企業を「お金を作り出す機構」と見なした時のお金を生み出す力のこと。
ザ・ゴールでお馴染みのTOC(制約の理論)で提唱されていた考え方です。
吉原精工で残業ゼロでも厚遇できるという理由が「スループット」だけでは、まとめ過ぎなので、まずは基本的なポイントを挙げてみます。
- シフト勤務により作業できない時間を短縮
- ワイヤー加工に特化することによる作業効率化と社員の習熟度向上
こうして労働者の就業時間を増やさず(実際は短縮して)、生産している時間を増やしました。
これで安定的に受注が出来るなら売り上げも利益も増えていきます。
プロモーションで受注拡大
受注拡大に繋がったポイントは新規顧客を増やすと同時に、既存顧客の流出防止。
吉原精工のWebサイト(https://www.w-cut.com/)を見ると、どうすれば安く加工してもらえるかが分かり易いです。
- 納期による割引(20日で5%、40日で10%)
- 割引をうまく組込むことで作業の平準化も図れている
- リピート品なら20%OFF
- 気分がよければ……30~100%OFF加工
- 新規お取引前のお試し加工100%OFFで対処できてます。
- 量産加工前の少量試作品は原則無料
これで、新規顧客がつかめそう。
さらには、折れたタップの除去や、顧客ミスによる再加工を無料対応してくれる。
安い上に、アフターフォローも嬉しい。これでリピートも確保。
さらには社員のレベルアップ施策もあったとのこと。
利益の半分がボーナスの原資と明言したことで、ボーナスを増やそうと社員自身が考えだします。
- 機械が止まると社長をせかす
- 新人にはベテランが自発的に教える
さらには、自社にとってのプロを定義したことで、どう頑張れば良いかが社員に伝わります。
これらことにより、効率と向上心が自発的に上がっていったと思われます。
よそもマネできるか?
基本的には可能だと思います。理由は、天才的な経営で成功しているのではなく理屈に沿っているから。
一つ一つの施策がよく考えられている上に一貫性がある。
そのことが効果を生んでいると言えそう。
この本に出てくる施策って、BSCの演習にも使えそうなくらいです。
コンサルティングの勉強している人にもおススメできる良書でした。
- 作者:博, 吉原
- 発売日: 2017/12/05
- メディア: 単行本
読了 - バズる書き方
バズりたい!そう思うならポイントを押さえろ、そんな書籍。
毎週1冊の本から感じとった気づきや、紹介したくなるフレーズをアウトプットして、ようやく2年。
本業の合間に、読んでまとめて書き記す。意外と1週間は短い。
ブログに書き始めた1番の動機は2つ。
イイ意味で目立ちたい気持ちと、せっかく読んで得た本の知識を簡単に取り出したかった。
思いついたのが「ブログにしておいてググればいい」という方法。
ただ、このまま公開したらヤバい、とも気づいた。引用が多すぎると著作権侵害になる。
公開するつもりでやれば、続けるモチベーションになっていいけれど、まとめた資料全部を公開できないところがジレンマです。
成毛眞にしては優しい書きっぷり
成毛眞さんの文章といえば、いつも、なるほどと思わせてくれるけれども、ピリッとどころかバッサリ 切捨て御免な印象を受けることがよくある。 (「日本人の9割に英語はいらない!」とか)
しかし、本書ではキツいメッセージもないし、推敲する過程が実例つきで紹介されている。
実に、優しさを感じる書きっぷりだった。
本書がおススメな理由
なによりも本書自身が「バズる書き方」の実例サンプルだというところ。
セクションごとにみると、
- インパクトを与える見出し
- 読みやすくて、テンポの良い文章
- ツィートしたくなる一文が必ず入れてある
具体的でわかり易い。
もちろん、本書をマネても練習は必要。
書いては推敲し、公開した後は反応を見ながら改善点を考える。
そうすれば良い文章が書けるようになってくる…はず。
まずは、時間に追われて書き出すのをやめる。そこから始めるか…