バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

便利なノウハウ: 問題 vs. 私たち

ちょっと経験が積もったSEが集まった時のお題。

「後輩・若手に一つ教えてあげるとしたら何を教える?」

言うなれば「SE力の伝承」です。

この時、私が挙げたのはアジャイル開発では定番の「問題 vs. 私たち」

その時のやり取りを少し紹介させてください。

顧客の無理難題に押しきられない会議術

f:id:ino-agile:20200305012028j:plain

お客さんの中に声の大きな人がいて、無理な要望を押し付けられそうなとき、その問題を間に挟んでお客さんと対峙するのではなく、お客さんと一緒に問題に向き合うようにするんです。

これが「問題 vs. 私たち」というプラクティスです。

これに対して聞いていた人から出た感想は「まるで神業」。

え、いや、ちゃんとやり方があるんですよ。

お客さんがゴリ押ししてきそうなとき、こんな風にやってください。

  • 席から立ちあがってホワイトボードに歩み寄り、お客さんの要望とその課題を書き出します。

  • 書き出した要望、課題に誤認がないか、会議の参加者に確認します。

  • 参加者の口から、付け加えることが出てきたら、最初に書いた要望と同じようなトーンで書き加えます。

  • 追記が一段落したら、あなたもホワイトボードの方を向いて、書き出した要望と課題を読み上げます。

ほら、あなたもお客さんも同じ方向(問題が書いてあるホワイトボード)を向くことになっていますよね。

ココには2つのポイントが入ってます。

  1. ホワイトボードの方を向くことで物理的に「問題 vs. 私たち」の構造にできます。これで、お客さんが押し切るべき相手は、あなたから問題に変わります。
  2. 書き出してしまうことで「誰の意見だったか」という色が薄れます。声の大きな人の顔色ではなく、ホワイトボードを見ることで、ニュートラルな気持ちで意見に向き合えます。(これが「意見は対等」というプラクティス)

最初はうまくできないかもしれませんが、練習すれば誰でも出来る簡単な手法なんですよ。

「突然、立って話し始めるなんて、若手には難しくない?」

いえ、大丈夫です。

ホワイトボードに書き出す前に一言、まくら言葉を添えてください。

「ちょっと、すみません。私の理解のために整理させてください」って。

お客さんの要望を理解して向き合おうとする発言なので、ダメだというお客さんはあまりいません。

ホワイトボードに書きながら「こういう理解であっていますか?」と聞けば、なお良いでしょう。

ただお客さんに説明させるだけにするのはいけません。

説明を聞いたら、自分なりの理解を自分の言葉で説明して、理解が間違っていないかを確認します。

こうすると他の参加者の耳に残るのは「声の大きいお客さん」が推し進める要望ではなく、あなたが説明した「一つの意見」になります。

慣れてきたら

ちょっと上級編ですが、みんなの前に立ってホワイトボードに意見やまとめを書く役を引き受けると、会議の場をリードすることができます。

うまくファシリテートして、合意を作りましょう。

ホワイトボードの無い部屋だとどうするの?

ホワイトボードが無い部屋ではA3用紙、なければA4用紙でもいいですが、大きめの文字で書いて使います。

弱粘性の両面テープがあると、付箋みたいに後で綺麗に剥がせるので便利です。

壁に要望、課題を書いた紙を貼りだすのも、ホワイトボードと違う効果があって会議を盛り上げられます。

その話はまた次の機会にしますね。