読了 - スケッチは3分
エンジニア向けなスケッチ本
IT技術者も最近は、デザインセンスが皆無というわけにはいきません。
一昔前なら機能的で使いやすいUIであれば納得してくれたエンドユーザーも、スマホやタブレットに慣れたのか、スタイリッシュなUIに目が肥えてしまっています。
おかげで社内業務で使うシステムを作ってるはずなのに、カッコ良さや、可愛らしさが要求されたりすることが増えました。
情シスの担当者さんから「社長が『もっと元気な感じにしろ』と言ってます」と言われた時は、さすがに困りました。
あれは、時代は変わった、と痛感した日でしたね。
要件定義の打ち合わせの度にデザイナーとニコイチで訪問するわけにもいきません。
IT技術者も、ざっくりレベルではデザインの話が出来たり、打ち合わせ中にラフスケッチを描けた方がはるかに良いという時代になりました。
そんな技術者に本書はまさにど真ん中。
シンプルなルール。練習時の注意、構成や描き方の合理的な説明。
そして、順を追うチュートリアル的な解説。
本書を読めば、ITエンジニアには馴染みの構成だということは賛同してもらえると思います。
新書らしくないテーマの本ですけど、感性より合理性を優先しているあたりが新書なんでしょうか。
「なるほど」と言いたくなる感心ポイントと共感ポイント
いつものパターンですが、本書中で「なるほど」とか「へえ」と言いたくなるポイントを少し抜粋してみます。
- ちょっとしたスケッチは、線と面で描く。面はグラデーションではなく一様に同じ濃さで描く。
- 同心円を徐々に広げて描く練習法はNG(半径が大きくなるにつれて、どこか潰れたような感じになる)
- 1本の線で、見る人に類推させる。(線を1本描きいれることで机の縁であると想像させられる)
- 文字を敢えて書き入れることで、面に凹凸や曲面があることを伝えられる(真っ直ぐであるはずの線が歪んでいることで平面じゃないことを表現できる)
- パーツの違う部分は1本線に見えても2本線で描くのがコツ(パーツが違うということが鮮明になるから)
- グラデーションは、一定の濃さを幾つかのグループ分けして塗る
まずは「Hello world」のつもりで、はじめるのが良いですね。
- 作者:山田 雅夫
- 発売日: 2006/11/16
- メディア: 新書