バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

読了 - プロセス思考でビジネスが変わる

「~思考」の言葉には、つい惹かれてしまう。

かつてアジャイルプロセスの必要知識体系の策定をテーマに活動していたことや、本業でSharePointをはじめとする情報共有をテーマとしたソリューションを扱ってたこともあって、知識や考え方というテーマには惹かれるし、つい持論を展開したくなります。

本書は「プロセス思考」という耳慣れない思考法を引き合いにしておられますが、ざっくりまとめるとプロセス改善のイントロダクションでした。

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本書におけるプロセス思考の定義

まず本書が定義する「プロセス思考」を述べている個所を引用します。

  • 複雑なプロセスの「無駄」や「非効率」の原因を見つけて、最適な改善策を導くために編み出されたのが、プロセス思考です。(1章)
  • プロセス思考とは結果や人よりも「プロセス」に着目するような考え方(2章)

ただ、そこで紹介されるプロセス思考の7つのステップは、

  1. 改善目標を定義する
  2. プロセスを見える化する
  3. プロセスを測る
  4. プロセスを分析する
  5. プロセスを改善する
  6. プロセスを測る(改善後)
  7. プロセスを定着させる

伝統的な改善フレームワークであるQCストーリーとよく似てます。

QCストーリーは、と言うと

  1. テーマの選定
  2. 現状の把握と目標の設定
  3. 活動計画の作成
  4. 要因の解析
  5. 対策の立案と試行
  6. 効果の確認
  7. 標準化と管理の定着

です。

QCストーリーがプロセスに特化していない点が違うところですね。

本書で指摘するようにプロセスは過去の成功体験に基づいたものであることも多く、それが改善の妨げになっているのも、あるあるですね。

20年前と今では変化のスピードと影響範囲が大きく変わっていますので、プロセスの見直し頻度も必然的に短くならざるを得ないものと考えます。

ケーススタディが多い

本書の4章は、ケースから学ぶ実践「プロセス思考」として5つのケースを挙げて、それぞれプロセス思考に基づく改善シナリオをたどるものになっています。

ページボリュームとしても本書の約40%を割いており、ここを読んで欲しいという感じが伝わります。

読んでみた感想としては、ワークショップの題材として使うといいかな、と思います。

社内での勉強会などでチームごとにテーマを割り当てて、2時間くらいでやってみると体感出来て良さそうです。

著者も書いていましたが改善できるプロセスは、多々あります。

一旦、改善したプロセスでも数年たてば、周りの変化やツールの進化で、より良い方法が見つかるものなので、上司やお偉いさんが考え出したプロセスでも遠慮なく俎上に載せて改善案を考えるのがベストです。

まあ、今のプロセスを考え出した人たちが改善を受け入れる度量を持たないといけませんけどね。

Let's try !!

プロセス思考でビジネスが変わる

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