バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

読了 - ハウ・トウ アート・シンキング

デザイン・シンキングが注目される傍らで書籍のタイトルに「アート」の言葉もちらほらと見かけるようになってきていたので、「アート思考」が気になっていました。

そこで本書のタイトルに惹かれて買ったのですが…まんまと著者にしてやられました。どうやられたかは本書のあとがきを読むと分かります。

とはいえ、面白かったし、使える知識もしっかりと得られる書籍でしたので、結構お勧めです。

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目次を見ただけで「面白い」

本書のページをめくって、最初に「?」と頭に浮かぶのは『目次の章の順番がバラバラ』。

2、13、11、17、4、16、19、14、3、20、10、15、12、18、7、1、9、6、5、8。

我ながら「エンジニアだなあ」と思うのは、こういう数字の羅列を見たときに、法則を探してしまうんですね。

こんな風に。

  • 重複はない。
  • 数値の最小値は1で最大値は20。
  • 数値は1~20までは自然数で欠損がない。
  • 1の章題は『「アート・シンキング」はどうして生まれた?』、2の章題は『アートの価値はなにで決まる?』、3の章題は…。数字の順番に本書の文章は書かれた、という仮説は成り立ちそう。
  • 連続している数字はない。20個しかない数値なのでランダムでこうなる可能性を完全には否定できないが、純粋なランダムである可能性は低い。

多分、1から読んでも前から読んでも、たまたま開いたページから読んでもいいのでしょう。

ただ読んだ結果でいうと1章から読むことは勧めないです。

理由は、アートだって言ってる本なので、読み進めて次は何に出会えるかな?と楽しむぐらいが本書の付き合い方として良いように思います。

ここがイチ押し

全体としてはアート・シンキングの解説や考え方を紹介する書籍なのですが、現在代表的な思考法であるロジカル・シンキング、デザイン・シンキングとアート・シンキングを対比させた説明は秀逸です。

こんな分かりやすい説明は見たことがありません。

本書中の幾つかの章に分かれていますが、全部読むと納得感があって、これらの思考法を実践で活用するときや、「~シンキング」の使いどころを説明するときにも使えます。

以下にポイントだけ挙げますが、ぜひぜひ、精読をお勧めします。

  1. ロジカル・シンキング = 顕在的な課題を分析的に解決する思考法
  2. デザイン・シンキング = 潜在的な課題を共感的に見出し解決する思考法
  3. アート・シンキング = 課題から出発せず、自分の衝動によって価値に革新を起こす思考法

このポイントはとても大事です。

ロジカル・シンキングとデザイン・シンキングが「課題に対する解決」を志向しているのに比べて、アート・シンキングは課題に向き合わないんですね。

課題が同じであれば解決方法はいずれ収斂して「おなじ」になってしまう。

だからこそブレイクスルーに繋ぎうるアート・シンキングが注目されるているのでしょう。

本書によるアート・シンキングの解説は、ロジカル・シンキングのような具体的なツールやプロセスを使うものではありません。

ですが、アート・シンキングに必要な考え方に触れられた感じがする、そういう一冊でした。

ハウ・トゥ アート・シンキング 閉塞感を打ち破る自分起点の思考法

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