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読了 - もし部下が発達障害だったら

発達障害は「脳機能の発達」のアンバランス

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そもそも発達障害とは何かですが、本書によれば

私たちの脳には…見る、聞く、言葉を話す、書く…考える…感情を司るなどさまざまな機能があります。…これらの脳機能の発達のアンバランスさが生まれつき顕著であるために、社会生活に様々な困難をきたしてしまうのが発達障害です。

とのことです。

一方で発達障害の相対する概念は「定型発達」というのだそうです。

これには「なるほど」と思うと同時に思いっきり引っかかってしまいました。

生物の成長に個体差があるのは一般常識だと思っています。同じ顔、同じ背格好、同じ性格、そんな人いませんし、動植物においても個体差があることは同じです。

じゃあ「発達のアンバランス」が何かと言えば、「程度の差が顕著」ということでしかない訳ですね。

そして「程度の差」は、母集団の平均値あるいは中央値からの乖離を意味することになります。

この場合の母集団ってなんでしょう?

日本人?地球人?時系列的に言うと、直近の50年?それとも100年?

母集団の捉え方に決まったものがないとしたら、障害かどうかの判断基準が無いのが発達障害なんでしょうか?

かなり怖い話ですね…

本書でASDADHDの方に見られる特徴が13、列挙されています。

はっきり言って、特徴の種類が多すぎて、それを特徴的というのか、とすら思います。

でも是非一度、読んでみてください。

程度を別にすれば、どこにでも居そうなので、それが障害の特徴と言えるのだろうか、という感じです。

以前に取り上げた個性学にあったように「平均的な人間はいない」ということを考えると、専門医ですら診断が容易ではないということも理解できます。

結局のところ医者でもない私に、普通の人と発達障害の人の区別は無理なんだと理解しました。

上司はどう対応したらよいのか

本書では、1章で「発達障害とはどういうものか」、2章で「発達障害の特徴」が分かりやすく解説されています。

実はこの1、2章を読むと、それ以降で解説される「職場で起こるさまざまな問題」や「上司としてどう対応すればよいのか」は、そりゃそうなるよね、と納得できてしまいます。

ざっくりまとめると、上司として発達障害の特徴が強いと思われる人に対応するは、

  1. まずは発達障害の特徴を理解する
  2. 発達障害の特徴を持つ人の考え方の傾向と苦手なことを把握する
  3. 本人の希望する配慮を聞く
  4. 接し方が分からないときは、産業医などに相談する

というところでしょうか。

改めて書き出してみると、当たり前な対応ですね。

障害に限りませんが、いろんな人がいるのが当たり前の世の中なので、偏見や先入観を持たない努力が上司には必要なんだと再確認した気分です。