読了 - 自律する子の育て方
「どうやったら自律するの?」
変化が激しく、先行きの見通しがきかない時代、リーダーや上司だからといって正解を知っているわけではありません。
現場で臨機応変な対応が必要なことも当然あります。
そういう場面で必要とされるのが自律した人ということになります。
でも、自律した人が簡単に得られないなら、育てる必要があります。
で、どうやって育てるのか?と言いたいところですが、
「育つかどうかは本人の問題。周りができるのは育つ環境を与えることだけ」
というのは割と知られたことだと思います。
そこで「自律するのに必要なことって何?」の答えを探して巡り合ったのが本書です。
「自律している」とは
自分で考え、判断し、行動できること…これを「自律」と呼んでいます。
言葉で説明すると簡単なことのように聞こえます。
でも、自律していないと感じる人は珍しくありません。
本書ではその答えがハッキリと書かれていました。
一つは、押し付けられ続けていると、そのうち「よくわからないルールは黙って我慢する」ということが習慣化し、疑問すら抱かなくなる、ということ。
つまり自律を奪ったのは、納得させずに言うことを聞かせようとした大人(社会人の場合は上司や先輩)。
さらに厄介なのが、自分にとって好ましくない習慣もデフォルト化する脳の仕組み。
- 一度デフォルトモードネットワークにその行動パターンなりが組み込まれてしまうと、よほど意識しない限りその回路が勝手に使われてしまいます。
- 気を抜いた瞬間に使い慣れた回路を使おうとしますから、常に意識し続けないといけません。エネルギーをドカ食いしますし、ストレスもかかります。
「人はやり慣れたことから脱け出せない、それが脳の自然な働き」なんだそうです。
こうして自律を失った人は、なかなか自律を取り戻せないんですね。
必要なのは自己肯定感
自律に必要な第一歩は、自分で決めても良いと認識すること。
そのために自己肯定感を持ってもらわないといけないのですが自己肯定感を持つには、自分で決定し、失敗してもそこから学びを得ることで、失敗しても大丈夫だと感じることが必要なんですね。
本書の共著者、工藤勇一さん(元麹町中学校校長)によると、子どもに自己決定を促すには3つの言葉をかけ続けるのが大事とあります。
その3つの言葉とは
「どうしたの?」(メタ認知に必要な「自分の内面に意識を向ける」問いかけ)
「君はどうしたいの?」(解決方法を自分で考えてもらうキッカケ)
「何を支援してほしいの?」(問題解決の手助けをする)
この3つの言葉をかけ続けることで、自己決定するしかない環境に置かれることになる。
自己決定を繰り返すことで自己肯定感が高まり、自信と主体性が付いてくる。
脳は長年染みついた思考回路から容易に抜け出せない。
だから敢えて無意識に思考が元の考え方に戻ったり、迷走したりしないように伴走することが効果的。
また、自律を促す周りとしての注意点も大事です。
- 自分の考えを押し付けない
- 焦らず待つ
- 「先生の力不足で申し訳ない」のように大人が自分を責めだすと、子どもは何かを責めることを学習する。
- 他人との比較ではなく、本人自身の成長に意識を向けてもらう。
工藤さんが書かれた2章と4章は「子どもの育て方」という表現になっていますが、大人が相手でも伝え方以外は同じでしょうから、活用したいところです。