バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

読了 - ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略

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米大統領が連呼した影響で「~ファースト」の言葉が溢れた印象があります。

その中で本書が提唱するソフトウェア・ファーストとは、IT(とそれを構成するソフトウェア)活用を核として事業やプロダクト開発を進めていく考え方です。

その考え方が必要とされる背景は「産業のサービス化」。

製造業の代表格であるトヨタですらモビリティサービスを提供する会社への移行を進めているくらいなので産業のサービス化はますます拡がることでしょう。

そんな今だからこそ、ソフトウェア・ファーストは必要とされる考え方であるように思います。

本書ではソフトウェア・ファーストに必要となる変革について詳述しています。

正直なところ前半はポイントがつかみにくく、私とは相性が悪い本なのかなぁとも思いました。

しかし、4章、5章では著者の実務経験豊富な感じがにじみ出ていて使いたくなるノウハウが満載です。

特に気に入ったというか、やってみたくなったノウハウを少し紹介します。

IT技術者の評価基準の設定に悩んだ時の解消法

DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する上でも、ソフトウェア・ファーストな企業に変革する上でも、優秀なIT技術者の確保は重要なテーマです。

特に優秀なIT技術者ほど引く手あまたなので適切な評価が出来ることも人材確保には欠かせません。

そこで評価基準の設定が大事なのですが、本書では特徴量抽出手法という、かなり有効そうな方法が紹介されています。

その大前提として「エンジニアは他のエンジニアが優秀かどうか判断できる」というのがありますが、これはそういうものと理解して欲しいです。

複数のエンジニアに聞けば、誰が優秀なのかは概ね一致すると本書にある点は全く同意します。

この前提に基づいて以下のステップで進めるそうです。

  1. まず複数人で優秀と思う順に並べる。細かい順位には拘らない。順位そのものではなく、その順位にした理由が重要だから。
  2. 評価者で合意した順位で並べられたメンバーとその理由を表にする
  3. この理由から共通の特徴を抽出する
  4. 順位が高いメンバーたちの評価理由を見ると、組織が大事にしたいと思っているもの、こういうエンジニアになって欲しいと思っているものが浮かび上がる。逆に順位が低いメンバーの評価理由からは相応しくない行動例が見えてくる
  5. これを整理するとその組織での評価基準のベースができる

なんか、みんなが納得しそうな評価基準ができそうだと思いませんか?

藤原和博氏が提唱する「100万人に1人の人材になる方法」

もう一つ、面白かったのが「100万人に1人の人材になる方法」です。

本書ではダイジェストのみのようですが、よくまとまってるし、出所の書籍「藤原先生、これからの働き方について教えてください」も読みたくなったので紹介します。

  1. 人は1万時間の努力をすれば100人に1人の人材になれるので、まずは1万時間で一つの専門領域を身につける。
  2. これを異なる領域で三回繰り返すと100万人に1人の人材となる。
  3. 最初の二つは近しい領域でよく、このホップ、ステップでベースラインを固めた後、ジャンプするように大きく踏み出せば希少性が高まる。

分かりやすいですよね。

そのほか「システムの内製化に対する4つの誤解に対する答え」「典型的なプロダクトマネジャーのタスク」「CTOを置く利点と課題」なども参考になりますので、お試しあれ。

ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略

ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略