「10倍 速く書ける」なら嬉しいかも
ちょっと大きな書店に行くと「1枚で~」「30日で~」「100倍~」のように、タイトルに数字を入れることで、何かがうまく出来そうな雰囲気を醸してる書籍が多いことに気付きます。こういうタイトルに惹かれる人が結構いるということですよね。
本書もその類かなとは思ったものの、「ささっと書きたい、書いておきたい」と思うことが続いたので読んでみることにしました。
本書の序文が指摘するように、普段の仕事は書くことに多くの時間を費やしています。IT技術者なら、メール、進捗などの報告、ソフトウェアの設計書や説明資料など「誰かに渡すもの」が、その典型でしょうか。
ただ、それ以外にも技術資料やネットの記事で知り得たことや自分の興味で調べたことなど、アウトプットしておきたいことは結構あります。記憶力の限界と関係なく興味や必要性は生まれますので。折角、時間をかけて読んだり試したりしたのに後から「あれは…どういうモノだっけ?」というのは勿体ない。
10倍速く書けるようになれるなら忘れる前に書き出しておける。「10倍速く書ける」ってホントなの?と疑問符つきで読んでみました。
素材文章術
-
「どう書くか」より「なにを書くか」
-
文章は素材が9割
-
素材を用意できたらほぼ完成
であるとし、これを「素材文章術」として実例を併せながら解説していました。 (あれ、既に私の期待から外れてる?)
素材文章術は以下の5ステップ。
-
書く目的と読者を定める
-
素材を集める
-
素材を組み立てる
-
一気に書ききる
-
見直す
これはプレゼン資料の時なんかはそうですよね。ただ、エンジニアが書く文章って、素材が先にあって、次に「誰にどう伝えるか」というものも少なくないような気がします。
正しい文章の「削り方」
これは、文字数が決められた文章を書くときに有効ですね。早速今度から使わせてもらいます。
文字数が決められた文章を書く機会なんか無いと思われる方は、ちょっと考えてみてください。エンジニアが書く文章に求められるのは「事実に基づき、簡潔であること」ですよね。だから文字数制限がなくても文章を削る方法は知ってると便利です。
素材を集める
素材を集める方法として、1枚の「葉」として素材を眺め、それを「枝」にまとめることで連想ゲーム的に別の素材が浮かんできたりする、という手法が紹介されています。イメージ的にはKJ法とマンダラートの組み合わせですかね。こういう帰納的なアプローチもいいけどエンジニア的にはモデリングでもいいと思います。書く対象となるモノあるいはコトを、ターゲットとする読者の視点で、構成要素、要素間の関連、時間軸などでモデル化すれば、「このエンティティ(観点)のオブジェクト(素材)が欲しい」と気づけそうです。
やっぱり実践は大事
読んでみて面白いなと思ったのは「実践編 ケース別・速筆術」の章。
800字、2000字、5000字と、目標とする文字数ごとに、実例を挙げて素材の組み立て方を解説しています。これが結構具体的ですし、実例となった文章について著者が集めた素材も掲載されていますので「ちょっと練習してみよう」という気になります。
やっぱり実践が大事ですよね。
さて、本書を素材としてこの文章を書いてみてる訳ですが、ちゃんと書けてますかね。