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読了 - 世界最高のチーム ~ グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法

『グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』とのサブタイトルですが、中身はマネージャ向けの内容でしたが、第一印象は「読み易い」です。

本書を手に取った時点では、グーグルの話であること、著者が「ピョートル・フェリクス・グジバチ」という外国人っぽい名前だったので、てっきり翻訳本だと思ってました。

でも「飲みにケーション」と書かれていたのを見て、ようやく著者の略歴を確認しました。

奥付を見て今更ながらに知りましたが著者のピョートル氏は20年近く日本で働いておられる上に本もたくさん執筆してるんですね。

それにしても読み易いのは、日本語をよく理解しているだけでなく、話の組み立てがうまいからですね。

自律と協調、これが出来る土壌作りと維持がマネジャーの役割

本書で紹介される考え方や取り組みはIT業界が一番フィットしますね。

IT業界は市場や技術など知見を必要とする分野が多様化している上に変化が早いという特徴があります。

こうした領域でビジネスを進める場合、マネジャーが全てを把握してメンバーに適切な指示を与えることが難しくなるのが当然です。

その結果、チームとしてのパフォーマンスを向上させるには自律と協調がもっとも効果的だというのは、私も以前から思うところでした。

本書の内容を強引にまとめると自律と協調ができる土壌作りとその維持がマネジャーの役割、中でも心理的安全性が高い状態を保つことが特に大切ということかなと思います。

このため心理的安全性を高めるための考え方や取り組みについて、多くのページを割いています。

心理的安全性を高めることが自律には不可欠

心理的安全性が高い状態を説明するより心理的安全性が低い状態を説明する方が簡単です。

心理的安全性が低い状態とは「誰かの顔色を気にして本音を言えない」状態です。

この状態のメンバーが自主性を発揮するはずがないので、これと真逆な状態を実現すべきということですね。

マネジャーに有効なスキル

本書から拾い上げると、これからのマネジャーに有効なスキルの代表格が以下3つ。

いずれも、勤め先では教わったことないし、必要だと言われたことも無いですね。

ただ社外での勉強会では結構昔から教え合ってたテーマです。

つまりビジネスもコミュニティ同様、横のつながりでチームを構成する時代になったと言うことなんでしょう。

自律的なパフォーマンスを引き出す3つの視点

組織のパフォーマンスは個人のパフォーマンスの合計なわけですが、各個人の自律的なパフォーマンスを引き出すには時間軸の異なる3つの視点で考えると良いそうです。いわく

短気的:いま目の前にある本人とチームのタスクを実行すること
長期的:本人とチームの市場価値を高めること
随時的:本人とチームが変化に対応できるような能力を身に着けること

ただ本書には「固定化されたチームは弱い」と書いた節もあって、端的には上の長期的な視点とのバランスが難しく感じました。

「固定化されたチームは弱い」の節は、イデアやミッション次第で柔軟にチームを編成すべきであって、いまのチームメンバーを固定化する前提で物事考えたらダメだという話なので、これはこれで正しいとも思います。

やっぱりバランス感覚が大事なのでしょうね。

1人のマネジャーに対し、チームメンバーは7人以内

細かく目の届く範囲でないとメンバーのパフォーマンスを高いレベルに維持できないから、というのが7人以内の理由ですが、実はこの節を呼んだ瞬間に思い付いたのは「階層が深くなりそう」です。

Wikipediaでグーグル日本法人の従業員数を見ると「1300人(2017年11月時点)」とあるので、日本法人社長以下5階層の組織構造になっているのでしょうか?

それだと意思決定が遅そうですね。

5階層じゃないとすれば、チーム間も自律協調な関係なのかな、などと想像してしまいました。

取り組み始め易そうなガイドライン

書いてあること自体は難しいことではありませんが、継続的に実行できるかどうかはマネジャー自身の経験やマネジャーを取り巻く慣習もあって容易ではないように思います。

まずは「変わることにトライする」ぐらいの気持ちで、一つでもいいから始めてみると良いかもと思います。

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世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法

世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法