バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

読了 - わかりやすさの罠 池上流「知る力」の鍛え方

解説がわかりやすいことで定評のある池上彰さんが、わかりやすさに「罠」があるという。

ぶっちゃけ、そのタイトルと本書の帯に釣られました。

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「わかりやすさの罠」の帯

わかりやすさに潜む「罠」

池上さんがTVに出ると、いつも政治、外交、経済と、とっつきにくいテーマをわかり易く解説していますよね。

その解説は、テーマの背景や周辺事情などを織り交ぜながら、固い話を面白く、わかり易く進んでいきます。

でも池上さんは、そこには罠があると言うのです。

「わかったつもり」になってしまうという罠

池上さん曰く、池上解説は英語学習番組における「続 基礎英語」 のようなもので、その先にある「英会話」や「ビジネス英語」に繋げる導入だと考えて欲しい、そうです。

やはり、限られた時間枠で紐解ける内容には限度がありますし、解説を聴く側としても最初から池上さんが調べたのと同じ時間の長さをかけて聞くことは出来ません。

だから池上さんは、テーマの胆になる部分を紐解くと共に、そこから先に踏み込むためのタグになるキーワードをうまく織り込んで解説しているのでしょうね。

「わかった気にさせられている」のかもしれないという罠

もう一つの罠は「分かった気にさせられている」だけかもしれないというものです。

「ニュースをわかり易く解説すると視聴率がとれる」ことに気付いたテレビ局は、これまでニュースを扱わなかった情報系やバラエティ系の番組までニュースを扱うようになってきています。

きちんと扱うなら良いけれども、表面的にわかり易いように見えるだけだったり、本質よりも面白さを優先してしまうこともあり、謝った理解あるいは浅い理解になる懸念があるんですね。

この罠って実は、池上さんが生み出してしまったのかもしれませんね。

(あ、だからこの本を書いたのか!)

ネットから得る「真実」の罠

IT屋なら知ってそうな話ですが、ネットで表示される情報は利用者の好みに合わせるようになっていることが多いです。

それは知らず知らずのうちに偏った情報を受けとっていることになります。

また、そもそも根拠の薄い情報が「まことしやかに」書かれていることもあるでしょう。

ネットで情報を得ることが当たり前のようになってきていますが、鵜呑みにできない情報が紛れていることは確かに罠ですね。

まとめると

こうした現状も理解して、それぞれが「知る力」を鍛えて正しい情報を知ること、知り始めで分かった気にならず、その先へと踏み込んで行って欲しいというのが池上さんが本書で伝えたいことであるように感じました。

ちなみに、本書では池上さん流の「知る力の鍛え方」も紹介されています。

知りたい方は本書をどうぞ。(「○屋」は私もよく使ってます。)


後で気付いたんですが本書の序章って、本書のサマリーになってますね。