読了 - HBR論文 不況期に生き延びるために企業は何をすべきか
今だから余計に気になる
先日、HBR EIシリーズの「集中力」を読んだ後、Kindleのリコメンドに「今っぽい」ものが挙がってきたので、ついポチってしまったのですが、実はHBR(Harvard Business Review)から抜き出した論文でした。
HBRというとセオドア・レビットやフィリップ・コトラーなど経済学の超有名人が著者となってる学術的な論文が多いので「いま読むには王道過ぎるかもしれない」とは思いました。
それでも、ウィズ・コロナ、アフター・コロナをテーマにした書籍は書店に並んでいますから、王道に立ち戻ることで新たな気づきがあれば、と取り上げてみました。
4つの論点「負債、意思決定、雇用、DX」
本書では景気後退期に興味深い事例のあった分野として、負債、意思決定、雇用、デジタルトランスフォーメーションを挙げていました。
最初の負債については「景気後退前に備える」ことを論じたものだったので今回は割愛します。
中央集権か、分権か
難しい判断を下すには中央集権型が有利としながらも、景気後退期には分権型の方がマクロ経済への耐性があるとしている
景気後退時は、従来の判断基準ではうまくいかないことが多々あります。
このため何でもトライしてみる必要が生じますが、この場合、より現場に近いところでの情報が重要になりますし、じっくり検討する時間もありません。
だから分権型の方が耐性がある、ということです。
ただし本書で指摘する、
分権化とは、経営判断と現場の判断を一致させること
これが大事なポイントですね。
レイオフの先
人員整理したくてする経営者は多分いないでしょう。
それでも人員整理をする前に、もう一度振り返る視点として大事なこと書いてるな、というのが印象です。
幾つか抜粋させてもらうと
- 危機から最も力強く立ち直った企業群は、経費削減のためにレイオフにあまり頼らず、業務改善に力を入れていたことが判明した
- 人員整理は従業員の士気を大いに低下させ、生産性を大きく低下させる事態になりかねない
また、景気が持ち直した後、元の生産力を取り戻すのに時間がかかることも考慮にいれるべきなんですね。
むー、言われてみれば、そうかとは思いますが難しいものなんですね。
デジタルトランスフォーメーションに投資すべき理由
ここだけが前向きな話。
景気後退時期に投資って難しそうです。
それでも「今だから安く手に入る」と、一等地に出来た空き店舗を押さえる外食事業者もいらっしゃると昨日もニュースで取り上げられていました。
本書ではDXに投資すべきだと提言しています。
その理由は
- 景気後退時は、企業の機会損失が好景気の時より低い
- DXによるデータ解析が、業務改善、経費削減に貢献できるから
売上の少ない時期だから、大胆な業務改革がやり易い、というのは目から鱗でした。
やはり、たまには重めの論文もいいですね。
不況期に生き延びるために企業は何をすべきか DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文
- 作者:ウォルター・フリック
- 発売日: 2020/05/28
- メディア: Kindle版