バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

読了 - キーエンス解剖 最強企業のメカニズム

平均年収が2000万円を超える国内屈指の有名企業キーエンス

何が他と違うのかを知ってみたくなった。

本書は日経ビジネス記者である著者がキーエンス本体、OB、取引先、あらゆる関係者への取材に基づいてまとめたもの。

確かに本書中には随所にそのエピソードが盛り込まれ、キーエンスがやっている仕事術、組織運営を見ているように感じられる。

問題を見るとすぐに答えをしりたくなる私には少し疲れるところもあったけれども、「細部に宿った違いを知りたい」と思う人には一読の価値ありと思う。

読後、キーエンスの何がスゴイのかを振り返ってみる。

一つ一つの工夫は確かによく考えられているが、そこではない。

ニーズの本質を探り、高付加価値の実現を追い求める。

そのことを徹底させる仕組みがスゴイ。

KPIを設定し、評価することは、ちゃんとした企業ならやっている。

キーエンスは社員にKPIを強く意識させること、社員がKPIで評価することを実感できるように、短い周期で評価し、四半期ごとの賞与で還元する。

キーエンスの社員は日常的に 「目標意識」「目的意識」「問題意識」 を問いかけられる。

そのことはキーエンス社長の言葉からもわかる。

先輩と何かしゃべるたびに『その目的は』と聞かれるんですね。

今日どこへ何のために行くのか、そのために何をするのが一番いいのか、日常的に投げ掛けられていました。

これを高頻度で繰り返すことで、自然と今日の目的は何かを考えるようになるのです。

こうした会話は、代々受け継がれるキーエンスの伝統です。

いつもいつも、こんな風に聞かれるなら、よほどの怠け者でもちゃんと答えられるようにしようとするだろう。

もしくは脱落するか…

一人が頑張ろうとしているだけでは誘惑に勝てないこともある。

企業全体が、高付加価値提供を追い求め続けられる仕組みを作ったから最強なのだろう。

しかし、ふと思う。

アジャイルの考え方ってキーエンスに近いんじゃないか…