バナナでも釘は打てる

柔らかく美味しいバナナでも、ちょっとした工夫で釘は打てます

読了 - SF思考 ーービジネスと自分の未来を考えるスキル

架空の、しかし現実に接続した未来

未来を思い描いて、そこから逆算して現在のアプローチを考える、というのはゴール志向の基本的な考え方。

ただ、その未来は遠くても10年後くらい。

SFの領域ではないですね。

本書のSF思考は、研究開発や新事業開発に向いている、というから、少なくとも50年くらい先の未来を考えるんでしょう。

「いま」の延長ではない「未来」。

そこではどんな技術が使われているのか?

どんな人たちが、どのような社会生活を営んでいるのか?

夢想が広がりますね。

SF思考の肝は、現実から虚構に発想を飛ばし、それをまた現実に引き戻して着地させることにある

一旦、遠い未来を考えることで、今ある組織や自分の大きな方向性を模索するのがSF思考であるようです。

その進め方は3つの立場ごとに、それぞれ5つのステップが設けられています。

3つの立場はSF作家、SF編集者、SF読者。

SF作家としては未来を描き、SF編集者は斜め上の未来と現在をつなぐ役割。

と、ここまではいいです。

SF読者の立場で、というのはSF作家とSF編集者で創った未来ストーリーを自分ごと化して課題や在り方を考える役割のようです。

正直なところ、何度かやってみて慣れないと「あ、こういうことね」と腹落ちしなさそう。

本書中にワークショップの進め方も紹介されているので、試してみたいところです。

技術は飛躍するが、人間社会は飛躍しない

いまでも「昭和な…」というフレーズを耳にすること、ありますよね。

昭和の頃と技術は格段に変わりましたが、人間社会には「昭和」が残ってるわけです。

これから量子コンピュータが普及すれば、AIによって予測、解析される領域も間違いなく増えるでしょう。

変化が加速する技術と、変われない人間社会。

ますますギャップは広がるばかり。

でもギャップのあるところにビジネスはある。

うまく波に乗れるか、翻弄されるのか、ワークショップで侃々諤々と盛り上がりたくなりました。