読了 - 未来を共創する経営チームをつくる
ドラマや小説で取り上げられる経営陣といって思いつくのは権力闘争、社内政治、次期社長レース。およそ「チーム」というイメージとはかけ離れています。
20年以上、エグゼクティブコーチをやってきた著者でさえ「社長の意向に対して異を唱え、侃侃諤諤の議論がまきおこるということは…現実にはほとんど起きていません」と言っているくらいです。
本書で指摘するように、経営陣とはハイパフォーマーのエース人材の集まりなわけだし、そこに至るまでにトップダウン型のチームを率いてきたような人も少なくないでしょう。
いわば縦割り組織のトップの集まり。
そんな人たちがチームになるのは難しいのも当然でしょうね。
でも経営陣を「一癖ある人材の集まり」として捉え、その人たちをチームにするためのノウハウが本書だとみれば、応用範囲は広いはず。
その意味で本書中、一番のおすすめは3章「3-1.チームを再解釈する」。
エース人材としてやってきた彼らは、いろいろな "チーム" を経験しています。結果を出せたときのチーム体験もそれぞれのはず
まず、メンバーにはそれぞれの経験があり、「成果をあげた」あるいは「楽しく仕事できた」ときのチーム体験もそれぞれ。
つまり「チームとはこうあるべき」というイメージが一致していないことがよくあるわけです。
だからといって安直にイメージを合わせれば良いわけでもない。
本書が勧めるのは『それぞれの解釈を表面化させてから新しい解釈をつくる』です。
まずは、メンバーそれぞれのチームに対する解釈を次のような問いかけをすることで表面化させるのが良い。
- あなたにとってチームとは何なのか?
- どんな経験を、チームというものの中でしてきたのか?
- チームになることは好きか?どんな抵抗があるか?それは何故か?
- どんなチームにこれまで属してきたか?
- チームの中ではどのような役割を果たす傾向が強いか?
メンバーそれぞれの、チームに対する経験や考えを知ることで、合意可能な「自分たちのチーム像」が描けるようになるということでしょう。
これこそチームビルディングで越えるべき最初のヤマじゃないでしょうか。
チーム運営で悩んでるリーダーには一読の価値ありと思います。