読了 - ドムドムの逆襲
企業再生の戦略的な話だと思ったのに
書籍にこのタイトルが書いてあったら企業再生の話だと思うのが普通じゃないでしょうか?
流して読むと途中で「あれ?」っと思うわけですが、本書はドムドムを再生させるためにどうしたという話ではありません。
よくみると本書中にも「ビジネスを学んでいった過程を書いてほしいと編集の方に言われた」と書いてある。
そうか仕方ない、じゃあそこから何を読み取るかに切り替えよう。
著者 藤崎忍さんは39歳まで専業主婦。そこからアパレルショップ店長、居酒屋経営を経てドムドム入社。その9か月後に社長就任。
こういうと身も蓋もないが、このような人のマネは難しすぎる。
本人のポテンシャルがあったにしても「出会いの運」が強く影響しているから。
とはいえ本書の主題でもあるビジネスを学んでいった過程をざっとまとめてみる。
109のアパレルショップ店長(後継者候補として)
習得したのは店舗経営、顧客への価値提案。
居酒屋アルバイトから新橋の女将
ここで習得したのが事業計画、創業、商品開発。ブランチ(2店目)展開とシナジー効果。
ドムドム入社後
社長になる前の9か月で、商品開発、エリアマネージャーを担当。
キーワードだけ抜き出してみたものの、やはり短期間で駆け抜けたことを思うと慌ただしい。
思うにこの藤田さんは、自分と与えられた仕事に真摯に向き合ってきた人なんだろう。
立ち止まることなく(?)、ありたい姿を模索し続ける、その結果がこの人の今なんだろうと感じられる。
今が終着点というわけではなく、まだ何かしてくれそうな期待も感じられる、そんな人。
50年先に目標を置くと、経営方針に芯が通る
50年後も愛されるブランドでありたい
5年、10年先の話ではなく、50年つづいてきたものをさらに50年つづけていくことが会社としての目標だとおもっています。
本書の中で印象に残ったことの一つが50年後のドムドムを思い描いて経営方針を貫く姿。
5年先をターゲットにすると売上高x%アップとか、店舗数拡大などが目標に据えられることが多い。
確かにそれは間違っていないけれども、50年後にどう在りたいかと問われれば、数値的なことではなく、より本質的な目標が見えてくる。
これが企業としての存在意義を明確にする方法なのかもと感じ入った。
五十年先まで残れる企業は多くない。それでも、例えば二十年先にどんな企業、あるいは個人で在りたいかを描くことの効果は大きい。
70、80歳になった時に現役世代の人たちから「対等な現役」扱いされる人材でありたいもの。
まずは昔のことを自慢するジジイになることだけは避けよう。