読了 - 共感経営
これからの時代を生き抜くための経営戦略
以前、成功モデルだった「優れたリーダが引っ張っていく」スタイルの経営や組織運営はもう難しいですよね。
「俺に付いてこい」でうまくいくならそれでもいいのですが、先行き不透明な時代になってしまった以上、衆知とアジャイルなアプローチは、生き残りに重要です。
本書が説く共感経営とは、まさに周囲を巻き込み、臨機応変に対処する経営スタイルです。
なお、本書でいう共感とは
他者の視点に立ち、他者と文脈を共有することです。知識創造理論では暗黙知の共有を意味します。暗黙知とは、言葉や文章で表現することが難しい主観的な知
です。
知と力を集めるのは共感
「自分たちはどう在りたいのか」「何のために仕事をするのか」という目的意識や問題意識を行動原理とする働き方
私自身かつて、会社の枠を超えてアジャイルプロセスを広めるコミュニティに参加、運営していましたが、そこは共感で運営される組織でした。
「どう在りたい」「何のために」に共感してもらえると、知恵と力が集まります。
それぞれが自分の役割を自認して責務を果たしていきます。
仮に担当の決まってない「こぼれたタスク」があっても、押し付けあうことなく、誰かが率先して拾っていく、そういう組織になっていきます。
コミュニティはそもそも共感で集まったところもあるのですが、本書では企業経営あるいは組織運営への共感の取り込み方が事例と共に解説されていました。
中でも「なるほど」と感じたのは佛子園と多品種単品生産のHILLTOPの事例で、共感から共創への繋がりが仕組み化できることを実証した例と言えそうです。
佛子園の事例
- 高齢者、障がい者、健常者など様々な人が同じ場所に集うことで共生できる環境が生まれてる
HILLTOPの事例
- 専門部署がやるより非効率ですが、誰もが二足三足の草履を履くことで視野が開け、仕事へのモチベーションも高まり、新しいことへのチャレンジに繋がる。これも知的作業の善循環サイクル
たくさん作れば売れる時代は階層型組織が効率的でよかったのでしょうが、現代のように「何をすれば成功に繋がるのか分かりにくい」時代は、衆知を集め、協調して物事を進めるスタイルでないと企業として生き残ることが難しい。
本書はHow Toではないけれど、これからのための企業経営を考えることが出来る良書かと思います。