読了 - HBR EIシリーズ『集中力』
いきなりHow Toの話ではなく、「集中力とは何か」「集中力は何故持続できないか」と根幹に迫ろうとするところがHBR(Harvard Business Review)らしい。
まえがきと目次だけでそんな印象を抱きましたが、読後もその印象は正しいと思ってます。
アカデミックなアプローチのせいか、各章著者の書きっぷりのせいか読んでる最中に、集中力の持続を試されるのはちょっと皮肉な話ですけどね。
本書の構成は、まえがき、そして1章から9章まで著者が異なり、最後の10章はGTD(Getting Things Done。邦訳「仕事を成し遂げる技術 - ストレスなく生産性を発揮する方法」)で有名なデビッド・アレンを含む鼎談、という構成。
各章ごとの読み切りなので気になる個所から読むスタイルで楽しめます。
私が一番興味を持ったのは、石川善樹氏(先々週に読了した「考え続ける力」の著者)のまえがき「どうすれば人は集中できるのか」。
前書きでありながらボリューム的に各章と変わらず、内容も深い考察によっていて、なるほど、と感心してしまう。
特に面白い指摘は
です。
こうしてみると『集中する』ということの対象は『一人で行うこと』なんですね。
マネージャをしてる人には「いや違う」と言われそうですが、マネージャはメンバーが成果を挙げることに集中してるのであって、分担することはあっても協同することはないように思います。
時間よりも注意力を管理せよ
本書後半は、注意が他のことに向くこと自体は無意識の行動なので完全に防ぐことはできないけれど、邪魔を減らすことならできる、という考えの元に書かれています。
特に
コミュニケーション・ツールの使い分けのルールがない(8章)
という指摘は、大いに頷いてしまいます。
また、
(顧客の話を聞いて仕事を割り振る)トリアージ担当者を任命すること
という提言も、そうそうと思っています。
HBRだけに個人にターゲットをあてた話ではなく、仕事の場面における集中力をどうコントロールするかということが考えられる書籍でした。
- 作者:ハーバード・ビジネス・レビュー編集部,DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部
- 発売日: 2020/06/04
- メディア: Kindle版